作ってもらった道具の検収では何を見ますか——貴社の実データで動くことを確かめる7つの項目
この記事は「実務Q&A」です。調べ物のための記事です。結論を先に書いています。読み物としての記事は、ブログ一覧の「読み物」からどうぞ。
作ってもらった道具の検収で、何を見ればいいのか。先にお答えすると、見るのは機能の一覧ではなく、貴社の実データが、いつもの様式で、例外の日にも出るかの三つです。仕様書の項目に丸を付けていく確認では、動かしてから出る不具合をほとんど拾えません。
私たちは土木・建築・設備の3業種を営む約110名の建設グループ(ARCFEELGROUP株式会社)で、自分たちが使うAIの道具を2026年1月から作ってきました。作った側でもあり、受け取って使う側でもあります。その両方の立場から、何を見ておくと後が楽かを書きます。
検収では、何を見るのですか?
貴社の実データが、いつもの様式で、例外の日にも出るか。この三つが通れば、あとはたいてい直せます。
検収とは、頼んで作ってもらった物が約束どおりのものかを確かめて、受け取る手続きのことです。システムでも道具でも、納品のときには必ずここを通ります。ここを通すと、作る側の仕事は一区切り。だから「動くかどうか」を見る最後の機会でもあります。
私たちがお渡しするときは、貴社の実データで動くことを一緒に確認して、操作説明と手引き、AIに何を任せて何を任せないかを決めた「線引きの1枚」をお渡しする形にしています(作ります)。
なぜ「見本のデータ」で確認してはいけないのですか?
見本のデータは、作った人が作ったものだからです。都合の悪い形が最初から入っていません。
私たちが自分で作った道具でも、動かしてから見つけた不具合が実際にありました。夜勤が0時間、残業が0時間、遅刻が13時間と出た勤怠の集計。画面ではきれいなのに印刷するとA4に収まらない一覧。朝いちばんの、最初の1回だけ開くのが遅くなる画面。
どれも、作っているときの手元のデータでは出ませんでした。出たのは、実際の月と、実際の印刷と、実際の朝でした。
検収で見る7つは、何ですか?
貴社の実データ、いつもの様式、例外の日、入力と確認の担当、間違いに気づける形、直せる人、そして最初の30日。この7つです。
① 貴社の実データで動くか。 見本ではなく、先月の実際の記録を入れて通します。数が多い月を選ぶと、速さの問題も一緒に見えます。
② いつもの様式で出るか。 列の並び、単位、押印欄の位置まで見ます。提出先が決まっている書類は、形が違うと使えません。
③ 例外の日で試したか。 月をまたいだ日、休工日、あとから訂正した日。ふつうの日は、たいてい最初から通ります。
④ 誰が入力し、誰が確認し、どこで確定するか。 画面の作りより、仕事の流れとして決まっているかを見ます。ここが曖昧なまま受け取ると、運用が始まってから止まります。
⑤ 間違いに気づける形になっているか。 AIが出した答えが違っていたとき、誰かが気づける場所があるか。この考え方はAIの答えは、誰が答え合わせをするのかに書きました。
⑥ 社内に、直せる人がいるか。 全部を直せる必要はありません。マスタの追加や呼び方の修正くらいは、社内で触れる形になっているかを見ます。
⑦ 受け取った後の30日に、何を見てもらえるか。 初期の不具合は、たいていこの期間に出ます。私たちは検収後30日の初期不具合対応を含めています。

この7つを、いつ見るのですか?
検収の日にまとめて見るのではなく、作っている途中から見ます。
私たちは制作の間、週1回、動いている画面で途中確認をしていただく形にしています。ずれはその場で直せます。検収の日に初めて実データを入れる、という進め方にしないための段取りです。
途中確認の場で①〜③を先に通しておくと、検収の日は④〜⑦の確認に集中できます。
検収を通したあとは、誰が直すのですか?
検収の時点で「このあと誰が直すのか」が決まっていないと、半年後に誰も触れない物になります。
決めておくのは三つだけです。マスタや呼び方の追加は社内の誰が触るか。作りの変更を頼む窓口はどこか。止まったときに誰へ連絡するか。三つとも名前が入っていれば、受け取ったあとに宙に浮きません。当社にお任せいただく場合の受け皿はやりますです。
道具は、受け取った日が終わりではありません。役職が増えた、提出先の書式が変わった、担当が代わった。そのたびに直す人が要ります。
検収を、急がない方がいいのはどんなときですか?
三つのどれかが残っているときです。実データを入れていない、例外の日を試していない、直す人が決まっていない。
このどれかが残ったまま日付だけ通すと、あとから出た不具合を「言った・言わない」で扱うことになります。作る側にとっても得がありません。
検収の日を1週間ずらす方が、動き始めてからの手戻りより安く済みます。逆に、この三つが通っていれば、細かい直しが残っていても通してかまいません。細かい直しは、受け取った後の30日で拾えます。
よくいただくご質問
Q. 検収の場に、社長も出た方がいいですか。
実務を分かる方に出ていただければ、社長でなくても構いません。①〜③は実際にその仕事をしている方が見た方が早く、④の線引きだけは決められる方の確認が要ります。
Q. 検収で「思っていたのと違う」となったら、どうなりますか。
途中確認を挟むのは、検収の日に初めて大きく違う、ということを起こさないための段取りです。それでもずれていた場合は、作り直しの範囲かどうかをその場で分けます。土台に無い仕組みを新しく足す話であれば、別のお話になります。
Q. どのくらいの期間で検収まで行きますか。
期間そのものより、途中確認が入っているかどうかの方が結果に効きます。数週間かかる場合でも、週1回見ていれば、検収の日に初めて中身を知るということにはなりません。
Q. 検収の後で不具合が出たら、追加の費用がかかりますか。
検収後30日の初期不具合対応は含めています。それ以降の改修は「やります」の月額の中で引き受ける形です。
まず、先月の記録を1か月ぶん用意してください
検収の準備は、契約の後からでは遅いことがあります。
先月の実際の記録が1か月ぶんあれば、それがそのまま検収の材料になります。数が多い月、例外のあった月ほど役に立ちます。整えないまま置いておいてください。
このテーマの記事はまとめ:建設会社のAI導入、何から始めて何でつまずくかに読む順番で並べています。
まず全体像を知りたい方も、受け取るときに何を見ておけばいいかを個別に相談したい方も、無料60分相談会(前半30分=当社の実例と実画面の説明・後半30分=貴社の話を伺う質疑・オンライン・建設会社限定)をご利用ください。建設業のAI屋として何をして、何をしないかはこちらにまとめています。
AUTHOR
ケンセツベース(ARCFEELGROUP株式会社)
土木・建築・設備の建設グループ(110名・3業種)が、自社でのAIツール8本の内製を主導しました。 評論ではなく、当事者としての実装記録を書いています。
ケンセツベースについて