経審の点数(総合評定値P)はどう計算するか——5つの点数に重みを掛けて足す、その中身を分解します
この記事は「実務Q&A」です。調べ物のための記事です。結論を先に書いています。読み物としての記事は、ブログ一覧の「読み物」からどうぞ。
経審の点数(総合評定値P)は、5つの点数に重みを掛けて足したものです。式は P=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W。重みが違うので、同じ1点でもPへの効き方が変わります。どこを動かすと何点動くのかを、項目ごとに分けて見ていきます。
書いているのはケンセツベースの「入札係」の中の人です。配点の数字は、国土交通省が公開している「経営事項審査の主な改正事項(令和8年7月1日施行)」の配点表から取りました(手数料など別の出典の分は、その都度リンクを付けます)。⚠入札係を運営している当部署は、経審を受けたことがありません。ただし同じグループの建設会社は、毎年これを受けています。制度の説明は公開資料に沿って書き、当社の話は自社で作った計算の仕組みの範囲にとどめます。
経審は「経営事項審査」の略です。国土交通省の「経営事項審査及び総合評定値の請求について」では、公共工事の各発注機関が客観的事項と主観的事項の審査結果を点数化して順位付け・格付けをしており、このうち客観的事項の審査が経審にあたると説明されています。経審は「経営状況」と「経営規模等評価」の2つでできていて、前者の経営状況分析——決算書の数字から会社の財務の点数(Y)を出す審査です——は、国土交通大臣が登録した登録経営状況分析機関が行います。その結果を添えて許可行政庁に経営規模等評価を申請し、5つの点数がそろいます。
経審の点数(総合評定値P)は、どう計算するのですか?
5つの点数に重みを掛けて足します。 式は P=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W です。重みが大きい項目ほど、同じ1点でもPが大きく動きます。
総合評定値Pとは、この式で出る点数のこと。上に引いた国土交通省の説明でいえば、発注機関が見る「客観的事項」の点数にあたります。
X1・X2・Y・Z・Wは、それぞれ何の点数ですか?
完成工事高・自己資本額など・経営状況・技術力・その他審査項目(社会性等)の5つです。 国土交通省の配点表では、それぞれの最高点と最低点がこう決まっています。
| 記号 | 中身 | 最高点/最低点 | 重み |
|---|---|---|---|
| X1 | 完成工事高(許可業種別) | 2,309/397 | 0.25 |
| X2 | 自己資本額・利払前税引前償却前利益(利息と税金を払い、減価償却を引く前のもうけ) | 2,280/454 | 0.15 |
| Y | 経営状況(負債抵抗力=借金に対する体力・収益性・効率性・財務健全性・絶対的力量) | 1,595/0 | 0.20 |
| Z | 技術職員数・元請完成工事高(許可業種別) | 2,441/456 | 0.25 |
| W | その他審査項目(社会性等) | 2,073/▲788 | 0.15 |
Pとして取りうる幅は 2,159点から163点 までです。
どの項目が、いちばんPに効きますか?
重みが0.25のX1とZです。 完成工事高と、技術職員数・元請完成工事高。重みの合計1.00のうち、この2つで0.5を占めます。
ただし「軽い」と言えるのは重みの話で、動く幅は別です。Wは最低点が▲788点で、5つの中で唯一マイナスまで下がります。重み0.15を掛けても、満点との差はPで400点以上になります。

自社のP点は、どうすれば分かりますか?
正式な点数は、審査を受けた結果として分かります。受ける前に見当を付けたい場合は、当社が作った経審の概算シミュレーターで計算できます。決算書と技術職員の数などを入れると、P点の目安が出ます。
当社はこの計算を、上に挙げた国土交通省の配点表と「経営事項審査の事務取扱いについて」(令和8年7月1日適用版)の算式から組みました。当社で動かして確かめたのは、入力を変えるとどの項目がPをいくつ動かすかが数字で出る、というところまでです。等級の目安まで出せるのは、いまのところ千葉県・船橋市・国(関東地方整備局)・東京都の4機関です。P点そのものはどの県でも計算できます。
経審を受けるまでの順番(建設業の許可→経審→発注者ごとの資格審査→名簿)は公共工事の入札参加資格を取るまでの段取りに、Pから等級がどう決まるかは入札の等級(A・B・C)はどう決まるかに書きました。
令和8年7月1日から、何が変わったのですか?
その他審査項目(W)が変わり、Pの最低点も動きました。 国土交通省の資料では、改正の視点として担い手の育成・確保、災害対応力の強化、建設業許可要件の改正を踏まえた見直しが挙げられています。
Wの変更のうち、影響の大きい3つを挙げます。「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言状況が5点の加点項目として新設されたこと。建設機械の保有状況で、加点の対象になる機械が広がったこと——能登半島地震の応急復旧工事での活用実績を踏まえて、不整地運搬車とアスファルト・フィニッシャが加わりました。そして社会保険加入に関する評価項目の削除です。削除されたのは雇用保険・健康保険・厚生年金保険の3つで、いずれも未加入なら各▲40点の減点項目でした。
改正の案内を「うちならどうか」に落とし込む読み方は補助金・経審・制度改正の情報が多すぎる建設会社へに書いています。制度はこの先も改正されますので、申請の前に最新の案内をご覧ください。なお申請そのもの(書類の作成と提出)は当社では行っていません。お手伝いできるのは、受ける前の見当付けと、資格を取ったあとの公告集めまでです。
よくいただくご質問
Q. 総合評定値Pは、必ず請求しないといけませんか?
A. 任意の請求です。国土交通省の「経営事項審査及び総合評定値の請求について」によれば、平成16年3月の法改正で審査体系から切り離され、許可行政庁が行う計算事務として位置づけられました。ただし発注者によっては請求を義務付けている場合があるとされています。狙う発注者の案内をご確認ください。
Q. 経審の手数料はいくらですか?
A. 同じ「経営事項審査及び総合評定値の請求について」に、経営規模等評価の申請が8,100円に審査対象業種1種類につき2,300円を加えた額、総合評定値の請求が400円に1種類につき200円を加えた額と出ています。このほかに経営状況分析の手数料が別にかかり、こちらは登録経営状況分析機関へ直接問い合わせることになっています。
Q. Yの点数だけ最低が0点なのはなぜですか?
A. 配点表でそう定められています。X1・X2・Zは最低点が数百点あり、Wだけがマイナスまで下がります。Yは0が下限です。理由までは資料に書かれていませんので、当社としては「そう決まっている」とだけお伝えします。
点数の中身は、5つに分かれています
Pは1つの数字ですが、中身は5つに分かれています。配点表では、重みの大きい項目と、最低点が低い項目とが分かれています。決算書のどの数字を見ればいいかの見当は、そこから付きます。
資格を取ったあとの毎朝の公告集めは、こちらで引き受けられます。無料で1ヶ月ためすところから始められます。
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ケンセツベース(ARCFEELGROUP株式会社)
土木・建築・設備の建設グループ(110名・3業種)が、自社でのAIツール8本の内製を主導しました。 評論ではなく、当事者としての実装記録を書いています。
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