公共工事の入札参加資格を取るまでの段取り——許可・経審・資格審査・名簿の4つを順に踏みます
この記事は「実務Q&A」です。調べ物のための記事です。結論を先に書いています。読み物としての記事は、ブログ一覧の「読み物」からどうぞ。
公共工事の入札参加資格を取るには、建設業の許可、経営事項審査、発注者ごとの資格審査、名簿への登載、という4つの段取りを順に踏みます。前を飛ばせない順番があるので、まず自社がどこまで来ているかを確かめるところからです。
書いているのはケンセツベースの「入札係」の中の人です。当社は2026年8〜9月に、国(全省庁統一資格の役務・物品)と東京都(物品買入れ等)の競争入札参加資格を自社で申請して取り、東京23区の共同運営にも申請しました。工事の資格は取っていませんので、この記事は国土交通省が公開している資料に沿って段取りを整理したものです。申請の実務で分かったことは、その範囲で書き添えます。⚠申請書類の作成と提出は行政書士の先生の領域です。当社は行いません。
公共工事の入札参加資格は、どうすれば取れますか?
4つの段取りを順に踏みます。建設業の許可 → 経営事項審査 → 出したい発注者ごとの資格審査の申請 → 名簿への登載、の順です。
入札参加資格とは、その発注者の入札に参加してよい会社として、あらかじめ名簿に載せてもらう資格のこと。工事ごとに取るものではなく、発注者ごとに取ります。
このうち1と2は国の制度で全国共通。3と4は発注者ごとです。国に出したいなら国へ、県なら県へ、市なら市へ申請します。ただし、複数の団体をまとめて扱う共同の名簿もあります(当社が申請した東京23区がこの形でした)。「1回申請すればどこでも出られる」という制度ではありません。
①建設業の許可——まず、ここがないと先へ進めません
建設業の許可は、都道府県知事の許可と国土交通大臣の許可の2つに分かれます(建設業法第3条)。申請先は、知事許可なら都道府県の担当課、大臣許可なら国の地方整備局など(北海道は北海道開発局、沖縄は沖縄総合事務局)です。国土交通省の「建設業の許可」のページに、都道府県ごとの主管課と問い合わせ先の一覧が出ています。
同じページに、建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)の案内もあります。国土交通省の説明では、確認書類の取得や添付が簡素化されるとされています。
②経営事項審査——「分析」と「審査」の2段になっています
経営事項審査(経審)は、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が受ける審査。ここで出た点数が、後の等級につながっていきます。
経審は1回で終わりません。先に登録経営状況分析機関——国土交通大臣の登録を受けて、決算書から会社の財務の点数を出す民間の機関です——の分析を受け、その結果を持って申請します。国土交通省の「経営事項審査」のページから、分析機関の一覧と申請書類のダウンロードへ進めます。
なお制度は改正されています。同ページには令和8年(2026年)2月6日公布・同年7月1日施行の改正の案内が載っています(2026年9月時点)。申請の前に最新の案内を見てください。

③資格審査の申請——出したい発注者ごとに
出したい発注者ごとに申請します。共同の名簿がある場合は、その枠でまとめて申請します。
受付の時期は発注者が定めます。当社が申請した国・東京都・23区では、随時受け付けているところと、定期の受付期間が決まっているところがありました。発注者ごとに案内を読み直しています。
書類の様式も、求められる添付書類も、当社が申請した国・東京都・23区でそれぞれ違いました。行政書士の先生にお願いする方法もあります。なお当社は申請書類の作成と提出を行いません。
④名簿への登載——等級が付いて、出せる案件が決まります
申請が通ると、その発注者の入札参加資格者名簿に載り、あわせて等級(格付)が付きます。等級とは、発注者が審査の結果を点数にして付ける順位のこと。区分の付け方(A・B・Cなど)と、どの等級がどの金額帯の工事に出せるかは、発注者ごとに公開されている基準で決まります。当社の経審シミュレーターでも、等級区分が出ない工事種別があります。等級の決まり方そのものは入札の等級(A・B・C)はどう決まるかに、その土台になるP点の計算は経審の点数(総合評定値P)はどう計算するかに書きました。
名簿に載ると、毎朝どの発注者の公告を見ればいいかが決まります。探す場所については入札情報サービスの比較で見る5つの軸に、国・県・市町村の分かれ方を書いています。
公告は、資格を取る前でも見られますか?
見られます。 公告(発注者が「この工事を入札にかけます」と知らせる公表)は誰でも閲覧できますので、名簿に載る前から「どの発注者が、どんな工事を、どの等級で出しているか」は分かります。
当社は、出したい発注者を先に決めてから申請しました。都道府県ごとのページを47ぶん置いていて、たとえば東京都のページには、当社が実際に取得した公告の機関名と件数を出しています。狙える等級の見当は経審の概算シミュレーターで付けられます(等級の目安が出るのは、いまのところ千葉県・船橋市・国(関東地方整備局)・東京都の4機関です。P点(経審の総合評定値)そのものはどの県でも計算できます)。
公告を開いたら、まず入札方式を見ます。どこに何が書いてあるかは入札公告の見方にまとめました。
よくいただくご質問
Q. 建設業の許可を持っていれば、経審は受けなくてもいいですか?
A. 公共工事を発注者から直接請け負おうとする場合は、経営事項審査を受けることになっています。許可と経審は別の手続きで、経審は許可を受けている会社が対象です。詳しくは国土交通省の「経営事項審査」のページから「経営事項審査とは」へ進んでご覧ください。
Q. 1回申請すれば、国でも県でも市でも入札に出られますか?
A. 出られません。資格審査の申請と名簿への登載は、発注者ごとです。当社が申請したときは、国と東京都はそれぞれ別に申請し、東京23区は共同運営の仕組みで一括して申請しました。共同の名簿があるかどうかは発注者側の仕組みによりますので、狙う発注者の案内で確かめてください。
Q. 申請はいつでもできますか?
A. 発注者によります。当社が申請した国・東京都・23区でも、随時のところと、定期の受付期間があるところに分かれていました。狙う発注者が決まっているなら、その案内で受付の時期を先に確かめてください。
まず、自社がどの段にいるかを確かめてください
許可・経審・資格審査・名簿の4つを、上から順に当てはめてみてください。止まっている段が分かれば、次に動く先も決まります。
名簿に載ったあとの毎朝の公告集めは、こちらで引き受けられます。無料で1ヶ月ためすところから始められます。資格がまだの段階でも、どの発注者から仕事が出ているかを見るために使っていただけます。
AUTHOR
ケンセツベース(ARCFEELGROUP株式会社)
土木・建築・設備の建設グループ(110名・3業種)が、自社でのAIツール8本の内製を主導しました。 評論ではなく、当事者としての実装記録を書いています。
ケンセツベースについて