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読み物2026年7月30日

印刷するとA4に収まらない——画面のきれいさと、紙のきれいさは別でした

「使ってみて初めて分かった不具合」の例として、これまで三つ挙げてきました。

夜勤の集計が合わない。印刷するとA4に収まらない。朝いちばんの、最初の1回だけ重くなる。

一つ目は勤怠の点検で、三つ目はアプリが遅いという話で書きました。

残っているのが、印刷です。

画面で完結するつもりで作っていました

作る側は、画面を見て作ります。

列を足しても、画面は横に伸びるだけです。項目が増えても、下にスクロールできます。だから、画面の中では何も破綻しません。

ところが、使う側は紙で見ます。

勤務表を印刷したら、二枚目に一列だけはみ出している。真ん中で切れている。文字が小さくて読めない。こういうことが起きました。

画面のきれいさと、紙のきれいさは別だったんですよね。

なぜ紙が残るのか

「今は何でも画面で見る時代です」と言いたくなるところですが、実際にはそうなっていません。

  • 提出先が紙を求める(押印が要るもの、決まった様式で出すもの)
  • 現場に貼る、回す
  • 手元で並べて見比べる

三つ目は、意外と大きいです。二か月分を並べて見るとき、紙の方が速い場面があります。画面を二つ開いて行き来するより、机に並べた方が分かる。これは慣れの問題ではなく、紙の方が向いている作業だと思います。

だから「まず紙をなくしましょう」から入ると、たいてい止まります。

出せないものを減らすことはできません。出せる状態にしてから、必要なものを減らしていく方が順番として素直でした。

「出せない」と「出さない」は違うという図解。紙が残る理由は、提出先が紙を求める・現場に貼る回す・手元で並べて見比べるの三つ。三つ目は意外と大きく、二か月分を並べて見るときは机に並べた方が速い場面がある。出せる状態にしてから必要なものを減らしていく順番の方が素直

A4縦一枚に収めることが、要件になりました

社内の勤怠の仕組みでは、勤務表がA4縦一枚にぴったり収まるように印刷を作り直しました。そのまま提出できる形です。

やってみて分かったのは、これは表示を調整する作業ではなかったということです。

一枚に収めるには、載せる項目を減らさなければなりません。

全部載せると、文字が小さくなって読めなくなります。読めない紙は、印刷できていないのと同じです。ですので、何を載せて何を落とすかを決めることになりました。

画面には全部あっていい。でも紙は、一番よく見られる形に合わせて絞る。この二つが違っていていいと分かってから、作りやすくなりました。

画面と紙の違いを並べた図解。画面の中では列を足しても横に伸びるだけで、項目が増えても下へスクロールできるので何も破綻しない。紙に出すと二枚目に一列だけはみ出したり、真ん中で切れたり、文字が小さくて読めなくなる。一枚に収めるには載せる項目を減らさなければならない

印刷は、体裁の話ではなく何を捨てるかを決める作業でした。

金額の桁も、同じ性質でした

もう一つ、地味ですが効いたものがあります。

金額の入力欄を、三桁ごとのカンマ区切りで表示するようにしました。3500000ではなく、3,500,000と出ます。

建設業は金額の桁が大きいので、ゼロが一つ違うと大事になります。カンマが入っていれば、目で見た瞬間に桁が分かります。入っていなければ、指で数えることになります。

これも、機能が増えたわけではありません。ただ、読み間違いを減らすのは、計算を速くするのと同じくらい実務では効きます。

見やすさは飾りではなかった、という話です。

グレーの作業着の男性がキッチンのシンクの前でかがみ、水栓に触れながらバインダーの用紙に記入している写真

道具を選ぶときに、印刷してみてください

既製のツールを検討されるとき、デモでは印刷まで見ないことが多いと思います。画面はどれもきれいにできています。

見ておくとよいのは、この三つです。

  • A4に収まるか。 収まらない場合、どこまで自分で調整できるか
  • 必要な列が入っているか。 収めるために、必要な項目が落ちていないか
  • そのまま出せるか。 エクセルに出してから体裁を整える手間が残らないか

三つ目が残ると、毎月その作業が発生します。月に三十分でも、一年で六時間です。導入前に一度、実際に紙を出してみるだけで分かります。

道具を選ぶときに印刷して見ておきたい三つの図解。A4に収まるか(収まらない場合どこまで自分で調整できるか)、必要な列が入っているか(収めるために必要な項目が落ちていないか)、そのまま出せるか(エクセルに出してから体裁を整える手間が残らないか)。三つ目が残ると毎月その作業が発生する

今日できる確認

いま社内で使っている画面を一つ選んで、印刷してみてください。

一つ目は、はみ出さずに収まるかです。

二つ目は、収まった紙が読めるかです。収まっていても、小さすぎて読めなければ使えません。

三つ目は、その紙をそのまま出せるかです。手で書き足している欄があれば、そこが直す場所です。

よくいただく質問

Q. ペーパーレスに逆行していませんか。

A. 紙を減らすことには賛成です。ただ、「出せない」と「出さない」は違うと思っています。出せる状態にしておいて、要らなくなった分から減らしていく。この順番の方が、現場が納得しやすいです。

Q. PDFで渡せば済みませんか。

A. 渡した相手が印刷します。そのときに崩れれば、同じことが起きます。誰が出しても同じ形で出るかどうかが、実際の分かれ目でした。

Q. エクセルに出せれば十分ではないですか。

A. 出せるのは大事です。ただ、出した後に毎回体裁を整えているなら、その時間は減っていません。最初から出したい形で出るようにしておくと、その分がなくなります。

画面の中だけでは、完成しません

作った直後は、画面がきれいだと完成したように見えます。

でも、その仕組みが実際に使われる場面は、画面の外にもあります。紙で出す。人に渡す。提出する。

社内で8本ほど作ってきて、最後に手間がかかったのは、だいたいこの外側でした。

一度、印刷してみる。それだけで、残っている作業が見えてきます。

このテーマの記事はまとめ:建設業の経費精算・資金繰り・経営の数字に読む順番で並べています。


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ケンセツベース(ARCFEELGROUP株式会社)

土木・建築・設備の建設グループ(110名・3業種)が、自社でのAIツール8本の内製を主導しました。 評論ではなく、当事者としての実装記録を書いています。

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