領収書をメールで集めたら「誰の経費か分からない」「同じものが2回届く」が起きました——原因は名前の旧字と二重送信
この記事は「実務Q&A」です。調べ物のための記事です。結論を先に書いています。読み物としての記事は、ブログ一覧の「読み物」からどうぞ。
経費や請求書は、メールで受け取れます。ただ、つまずいたのは読み取りの精度ではなく、件名に書かれた名前と、同じメールが二度届くことでした。どちらも、メールで受け取る形にすると起きうることなので、先にお伝えしておきます。
社内で使う道具を自分たちで作りながら回している建設会社です。経費や請求書を、決まったあて先へメールで送ってもらうと、そのまま処理に流れる形を運用しています。実際に使っていて分かったことを、Q&Aにしました。
Q. 経費や請求書を、メールで受け取る形にできますか?
できます。専用のあて先を一つ用意して、そこへ送ってもらうだけです。
送る側は、いつも使っているメールのままで構いません。新しいアプリを入れてもらう必要も、使い方を覚えてもらう必要もない。ここが、続くかどうかの分かれ目でした。現場の人にも、取引先にも、新しい操作をお願いしないで済みます。
添付されたものは、そのまま読み取りに回ります。写真でもPDFでも受け取れるので、「スキャナがないと始められない」ということもありません。書類をどの形で渡すと読みやすいかは以前まとめました。
Q. 誰が出したものか、どうやって分かるのですか?
件名に名前を入れてもらう形にしています。ただし、ここで一度つまずきました。
件名の名前と、社内の名簿を突き合わせる仕組みにしたところ、特定の人だけ、いつまでも一致しないということが起きたんです。
原因は、旧字でした。﨑・髙・邊のような字は、メールが届くまでのどこかで新字(崎・高・辺)に変わってしまうことがあります。送った本人は正しく打っているのに、こちらに届いた時点では別の字になっている。名簿の側は旧字で登録してあるので、完全一致では永久にぶつからない。
そこで、突き合わせる前に旧字と新字を揃えてから比べるようにしました。あわせて、全角と半角、大文字と小文字も揃えています。
この手のずれは、実際に運用してみないと出てきません。名簿と照合する仕組みを作るときは、「字が変わって届くことがある」を最初から見込んでおくと、後で困りません。
Q. 同じメールが二度届いたら、二重に登録されませんか?
されません。二度目は、処理せずに終わるようにしてあります。
これは念のための備えではなく、実際に起きます。メールは、送信側の再送や中継の都合で同じものが二度届くことがあるんです。経費の場合、二重に登録されると金額が二重になるので、後から気づいて消す手間が発生します。
やり方としては、受け取った時点で「このメールは受け取り済みか」を先に見て、済んでいればそこで止める形です。読み取りにも登録にも進みません。入口で止めるのが肝心で、読んでから重複を判定しようとすると、そのぶんの処理は走ってしまいます。
Q. 受け取りに失敗したメールは、どうなりますか?
再送では戻りませんでした。 ここが、いちばん学びになったところです。
一度、始めたころの設定の不備で、届いたメールを受け取れなかったことがありました。ふつうに考えると「送信側が再送してくれれば戻る」と思いますよね。ところが、そうならなかったんです。
理由は、二重登録を防ぐ仕組みの方にありました。同じものが届いたときに「受け取り済みです」と返す作りにしていたので、再送も「もう届いている」と判断されて止まってしまう。備えたはずの仕組みが、復旧の邪魔をしていたわけです。
なので今は、あとから取り直す入口を別に用意しています。受け取れなかった分を、こちらから取りに行って処理し直す形です。
二重を防ぐ仕組みを入れるなら、取り直す道も一緒に作っておいた方がよさそうです。
Q. どんなファイルなら受け取れますか?
写真とPDFなら、たいてい大丈夫です。
スマートフォンで撮ったものは、そのままで問題ありません。iPhoneで撮ると独特の形式で保存されることがありますが、そこも受け取れるようにしてあります。
一方で、受け取れる形はあらかじめ決めてあります。何でも受け取る作りにしないのは、想定していないものが混ざったときに、そこで処理が止まってしまうからです。決めておけば、受け取れないものは受け取れないと分かった時点で止まるので、後ろの処理は動き続けます。
ちなみに、圧縮ファイルにまとめて送るのは向きません。中身を開く段が一つ増えるうえ、何が入っているかが送る側にしか分からなくなります。そのまま添付するのがいちばん早いです。
Q. LINEやスキャンと、どう使い分けていますか?
送る人と、送るものの性質で分けています。
現場の方が財布から出す領収書は、その場で撮って送れる形が向いています。一方、取引先からメールで届く請求書や、パソコンで受け取る明細は、そもそも最初からメールの中にあるので、わざわざ印刷して撮り直すのは手間が増えるだけです。
「一つの入口に統一しよう」としたくなるところですが、うちは入口を無理に一本化していません。もともとメールで来ているものはメールのまま、現場で発生するものは現場で撮る。入口を増やすことと、二重に入力することは別の話です。
入口を一つに閉じる話と、増やしていい話の線引きは情報共有の記事に書きました。
Q. すでにメールで届いているものから移せますか?
移せます。というより、そこから始めるのがいちばん軽いです。順番としては、こうでした。
- いま、どこからどう届いているかを数える——メール、紙、写真、手渡し。種類ごとに、一週間だけ数えてみます
- すでにメールで届いているものを見つける——ここが一番はじめに移せます。撮り直す手間がないからです
- あて先を一つ決めて、そこへ転送してもらう——送る側の手間は「転送」だけになります
3番まで来ると、新しい道具を入れる前に、けっこう楽になります。もともとデータで届いているものを、わざわざ紙に戻していないか。 そこを一度見てみてください。
メールは、いちばん新しく覚えなくていい入口です
経費や請求書の受け取りを軽くしようとすると、たいていアプリの話になります。ただ、送る側にとっては新しい操作が一つ増えることでもあります。
その点メールは、全員がもう使えます。覚えることがないぶん、続きやすい。
つまずいたのは、読み取りの精度ではありませんでした。名前の字が変わって届くこと、同じものが二度来ること、失敗したものが再送では戻らないこと。どれも、動かしてみて初めて出てきたものです。
このテーマの記事はまとめ:建設業の経費精算・資金繰り・経営の数字に読む順番で並べています。
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﨑元 理安(ARCFEELGROUP株式会社 代表取締役)
土木・建築・設備の建設グループ(110名・3業種)の社長として、自社でのAIツール8本の内製を主導。 評論ではなく、当事者としての実装記録を書いています。
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