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実務Q&A2026年9月6日

LINEの問い合わせ対応はAIで自動化できる?——うちが使った場所と、あえて使わなかった場所

この記事は「実務Q&A」です。調べ物のための記事です。結論を先に書いています。読み物としての記事は、ブログ一覧の「読み物」からどうぞ。

「LINEに来た問い合わせを、AIで自動で返せませんか」。この相談は増えました。

先に答えを言い切ります。うちはLINEの自動化を二つの現場でやっていて、片方にはAIを使い、もう片方には使っていません。分かれ目は「送られてくる文の形が決まっているかどうか」でした。

うちは土木・建築・設備の3業種、約110名の建設グループです。2026年1月に社内向けのAIツールづくりへ着手し、8本を自分たちで動かしています。LINEが絡むのは、社外からの問い合わせを受ける方と、現場の職人さんから勤怠と日報を受ける方の二つ。LINEで日報を出す仕組みの作り方では出してもらう側の設計を書きましたが、今回は受けて返す側の話です。

送られてくる文の形で道具が分かれる図解。広さ・日付・電話番号・金額のように形が決まっているものは文字のパターンで拾い、作業内容・現場の状況・相談ごとのように何が来るか分からないものはAIに読ませる

LINEの問い合わせ対応は、AIで自動化できますか?

できます。ただ、うちがやってみた範囲では、問い合わせの自動返信にAIは要りませんでした。

グループでやっている駐車場の舗装工事では、LINEに広さを送っていただくと概算の目安が自動で返る形にしています。「10×20」でも「縦10m 横20m」でも「200平米」でも読み取れます。

この仕組みの中身にAIは入っていません。文字のパターンを見て面積を取り出し、決めてある単価の幅を掛けて、金額の目安を返しているだけです。

なぜ、問い合わせの自動返信にはAIを使わなかったのですか?

欲しい情報が一つしかなかったからです。この場合、AIより文字のパターンで拾う方が速くて、間違いも少なくなります。

考えてみると当たり前なんですよね。読み取りたいのは面積だけ。書き方の揺れはいくつもありますが、種類は数えられる範囲です。全角の数字も半角に直せば同じ扱いになります。

AIに任せると、毎回料金がかかるうえに、返ってくるまでの待ちが増えるんですよね。相手は画面の前で待っています。数秒の差でも、待たされた感じは残る気がしています。

安全のための線も引きやすくなりました。極端に小さい数字や大きい数字は面積として採らず、金額も返しません。「その広さの駐車場は無いはず」という数字を、機械の側ではじいているわけです。

金額を返すときも、出しているのは目安の幅です。正式な概算は担当者が内容を見てから改めてお送りする、と返信の本文にも書いています。ここは料金を載せたサイトと、載せなかったサイトで書いた判断とつながっています。

作業着とヘルメット姿の二人が、設備の点検場所でタブレットと書類を持っている写真

AIを使ったのは、問い合わせと勤怠のどちらですか?

現場の職人さんから来る勤怠と日報の方です。こちらは、何が送られてくるか決められません。

「8時から17時まで、〇〇現場」と書く人もいれば、「今日は直帰します」だけの人もいます。前の日の分をまとめて直してくる人もいる。書き方を統一してくださいとお願いする手はあるんですが、それをやると使われなくなるんです。

なので、自由に書いてもらったものをAIに読ませて、出勤・退勤・直帰・有給といった決まった形に変換しています。音声メッセージで送られたものは、いったん文字に起こしてから同じ道を通します。

うちの勤怠は2026年4月11日から9月4日までで、打刻——出勤と退勤の時刻の記録です——が累計6,867件、うち8月6日から9月4日までの30日間で1,857件入りました(自社データベースの実測です)。この件数を、書き方の統一なしで受けられているのがAIを使った効果です。

AIが止まったときは、どうなるのですか?

止まります。実際に止まったので、そのための逃げ道を後から足しました。

AIの側が混み合って応答を返せない日がありました。そのとき、職人さんが送った「出勤8時〜退勤17時、資料作成」が処理されず、送り直してくださいという案内が返ってしまいました。

送り直しをお願いするのは、たぶんいちばんやってはいけない形なんじゃないでしょうか。現場はもう次の作業に入っています。

そこで、AIを通さずに文字のパターンだけで読める簡単な打刻については、AIが応答しないときに限って機械の側で処理する道を作りました。少しでも曖昧な文なら、この道は使わずに諦めます。確実に読めるものだけを拾う保険、という置き方です。

つまり、問い合わせ側で使っていた「文字のパターンで拾う」やり方を、勤怠側の保険として持ってきた形になります。要らないと判断した方の道具が、別の場所で効いたのは自分でも意外でした。

AIが止まったときの逃げ道の図解。ふだんはAIが自由文を読み、AIが応答しないときは機械が確実に読める打刻だけを処理し、曖昧なら拾わずに聞き返す

自動で返すと、雑な会社だと思われるのではないですか?

返す中身より、「返ってこない時間」の方が印象に効くようです。

問い合わせをいただいたのに何も返らない時間は、相手には長く感じられます。だから、広さが読み取れなかったときも黙らないようにしました。金額を聞かれている文なら広さをうかがい、住所らしい文ならお預かりした旨を返します。

一方で、返しすぎないようにも直しました。写真を何枚か続けて送っていただいたときに、案内文が枚数ぶん並んでしまったことがあります。今は一定の時間、同じ案内を重ねて出さないようにしています。

自動で返す設計をするときに時間を使ったのは、返す内容ではありませんでした。「黙る場面」と「うるさくなる場面」を先に洗い出すところです。

どちらの形にするかは、何で見分けますか?

取り出したい情報が数えられるかどうかで見ています。

一つか二つの決まった項目を取り出したいだけなら、文字のパターンで足ります。広さ、日付、電話番号、金額。この手のものは形が決まっているので、AIに頼む理由がないんですよね。

書き手が何をどう書くか予想できないもの——作業内容、現場の状況、相談ごと——は、AIの出番です。ここを人が読んで手で入れ直していると、いつまでも人が張り付きます。

どちらの道具を選ぶかの考え方は、建設会社が使うAIは3種類にも書きました。あちらが道具の選び方、こちらは同じ会社の中で使う場所と使わない場所を分けた話だとお考えください。

LINEの自動化は、どこから試すといいですか?

過去のLINEを、上から30件だけ読み返してみてください。

そのうち何件が「決まった項目を伝えてきているだけ」か。何件が「読まないと分からない相談」か。数えると、自動にできる範囲がだいたい見えます。

うちだと、社外からの問い合わせは前者が多く、現場からの連絡は後者が多い、という分かれ方でした。会社によって割合は変わるはずなので、まず数えてみるところからかもしれません。

関連する記事はまとめ:建設業の日報・勤怠・現場の情報に読む順番で並べています。

使う場所と、使わない場所を先に分ける

AIを入れるかどうかの前に、どこがAIの仕事でどこがそうでないかを分けておく。それだけで、入れる範囲が小さくなって、止まったときも困りにくくなりました。

御社に来ているLINEやメールが、どちらに寄っているか。数えたところで迷ったら、説明会や無料相談で聞いてみてください。


まず全体像を知りたい方は建設会社のAI導入 30分説明会へ。自社の問い合わせや現場の連絡をどこまで自動にできるか、個別に相談したい方は無料相談をご利用ください。AI顧問が何をする仕事かはこちらにまとめています。

AUTHOR

﨑元 理安(ARCFEELGROUP株式会社 代表取締役)

土木・建築・設備の建設グループ(110名・3業種)の社長として、自社でのAIツール8本の内製を主導。 評論ではなく、当事者としての実装記録を書いています。

ARCFEEL × AI について

続きは、実画面でどうぞ。

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