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実務Q&A2026年7月31日

AIに社内の書類を読ませるとき、どの形で渡せばいい?——写真・PDF・Excelの向き不向き

この記事は「実務Q&A」です。調べ物のための記事です。結論を先に書いています。読み物としての記事は、ブログ一覧の「読み物」からどうぞ。

AIに書類を渡すときは、元がExcelならExcelのままが正確です。わざわざPDFにするのが一番もったいない渡し方でした。渡す前に人が形を整えないのも要点です。

「AIに読ませたいんですが、どの形で渡せばいいですか」

社内でいちばん多く聞かれる質問です。写真でいいのか、PDFにした方がいいのか、Excelなら間違いないのか。

私たちは建設の会社で、社内で使うAIツールはこの半年ほど自分たちで作って動かしています。領収書、見積書、図面、勤怠。実際に読ませてきて分かったことを、質問の形でまとめました。

先に結論だけ言うと、元がデータのものはデータのまま渡す。紙しかないものは写真で十分です。わざわざ形を整えるために手作業を挟むと、そこで時間が消えます。

スマホで撮った写真でも読めますか

読めます。

領収書は、社内でもスキャナではなく写真で運用しています。斜めから撮っても、多少影が入っても読めます。

うまくいかないのは、文字がつぶれているときです。遠くから撮って全体を小さく写した写真、ピントが合っていない写真、感熱紙が薄くなって元から読めないもの。この三つは人が見ても読みづらいので、AIでも同じです。

コツというほどのものはなくて、人が読める写真なら、だいたい読めます。撮り直しの判断も、その基準で大丈夫です。

PDFとExcel、どちらが向きますか

元がExcelなら、Excelのまま渡す方が正確です。

PDFにすると、数字が「見た目」になります。表の形は見えていても、どの列がどの行に属しているかは、AIが推測して読むことになります。だいたい合いますが、列が多い表ほどずれる余地が増えます。

Excelのまま渡せば、どのセルにどの値が入っているかがそのまま伝わるので、推測が要りません。

わざわざPDFにしてから渡す、というのは一番もったいない使い方です。うちでも最初はやっていました。

元がExcelならExcelのまま渡す方が正確だと示した図解。Excelのままならどのセルにどの値が入っているかがそのまま伝わり推測が要らないが、PDFにすると数字が見た目になり列と行の対応を推測で読むので、列が多い表ほどずれる余地が増える。渡す前に人が形を整えない

まとめて一つのPDFにして渡していいですか

枚数が多いときは、分けてください。

社内で実際に起きたことですが、月末にたまった領収書を一つのPDFにまとめて読ませたら、途中で止まりました。画面には「読み取れませんでした」と出ます。

読めていなかったわけではなく、読んだ内容を返す途中で、一度に返せる長さの上限に当たって切れていました。一枚二枚では起きません。まとまった量のときだけ起きます。

ツールの側の上限なので、上げられるなら上げます。ただ、上げてもいつかまた当たります。**使う側としては「途中で止まったら分けて送る」**を覚えておくのが確実です。

 

書類の形ごとに読める・読めないの分かれ目を並べた図解。スマホ写真は人が読めるなら読める、手書きは数字と短い単語は読めて社内の略号は教えれば済む、図面はCADの方が正確で「合っているかを決める」は人に残る

手書きのメモや野帳は読めますか

読めるものと、読めないものがあります。

数字と短い単語(現場名、日付、数量)は、かなり読めます。走り書きの文章や、独自の略号は苦手です。「A棟②上」のような、社内でしか通じない書き方は、そのままでは意味が取れません。

ただこれは、社内の言葉をAIに教えることで変わる部分です。読めないのではなく、知らないだけ、という場合が多いです。

図面は読めますか

読めますが、書類とは別の話になります。

社内では、図面から数量を拾う仕組みを動かしています。PDFの図面でも、CADのデータでも扱えますが、精度が変わるのはここでも同じで、CADのデータの方が正確です。PDFは線が「絵」になっているので、寸法の意味を推測しながら読むことになります。

ただ、図面については「読めるかどうか」より、どこまで人が見るかの方が大事だと思っています。拾い漏れは金額に直結しますし、図面には書かれていない前提(既存の解体の範囲、養生、搬入経路)が必ず残ります。社内でも、拾った数量は必ず人が突き合わせてから見積に入れています。

「測らずに転記する」ところまでは任せられて、「合っているかを決める」ところは人に残る。今のところ、その線引きです。

Excelの表が複雑なのですが、そのままで大丈夫ですか

セルが結合されている表と、シートが何枚にも分かれている表は、少し苦手です。

理由は人が読むときと同じで、見た目は一つでも、中身が複数になっているからです。結合されたセルは、どの行の値なのかがデータとしては曖昧になります。この「見た目と中身が違う」話は前に書いた記事と同じ性質のものです。

とはいえ、わざわざ作り直す必要はありません。そのまま渡してみて、ずれたところだけ「この列は何を表しているか」を教える方が早いです。表を整える手間の方が、たいてい大きくつきます。

 

人は読めなければそこで止まるので気づけるのに対し、AIは読めなくても何かを埋めてきて、しかもそれらしい数字なので見た目では気づけない、という外れ方の違いを示した図解

読み取ったあと、どこに入りますか

ここが実は本題で、読めることと、行き先が決まることは別です。

領収書には工事コードが書いてありません。金額と日付が読めても、どの現場の分かは書類から分からない。この話は別の記事に書きました。

書類を渡す前に、その書類に「どこに付けるか」が書いてあるかどうかを見ておくと、後の手間がずいぶん変わります。

精度はどのくらいですか。確認は要りますか

金額と日付は、体感でほぼ外しません。ただ、確認は残します

外れ方が人と違うからです。人は「読めない」と止まりますが、AIは読めなくても何かを埋めてきます。しかもそれらしい数字なので、見た目では気づけません。

なので社内では、AIが読んで、経理が確認する形にしています。確認をなくすのではなく、打ち込む作業をなくすのが目的です。この線引きの考え方はこちらにまとめました。

渡した書類は、どこかに残るのでしょうか

会社で使うなら、契約の形をまず確認してください

法人向けの契約であれば、渡した内容が学習に使われない形で運用できます。社内でもその形にしていて、そのうえで残る心配は「学習されるかどうか」ではなく、他社から預かった書類を渡していいかの方です。元請けの資料、協力会社の単価、写真に写り込んだもの。この線引きは別の記事にまとめました。

「これ、貼っていいですか」と聞かれたときに答えられるのは、契約を確認してあるからです。順番としては、契約が先で、社内のルールは後です。

 

グレーの作業着の男性が、現場でしゃがんで設備に触れながら、手に持ったバインダーに記入している写真

どの書類から始めるとうまくいきますか

工事コードや取引先コードが書いてある書類からです。

発注書、注文請書、出来高、原価の伝票。この種類は、読み取った後の行き先まで書類の中で決まります。逆に、領収書や現場からの報告のようにコードが書いていないものから始めると、読めても人が「これはあの現場の分」と教える作業が残ります。

減らしたかったのはその作業なので、行き先まで決まる書類から入る方が、効いている実感が出るのが早いです。

行き先まで決まる書類と、行き先が書いていない書類を並べた図解。発注書・注文請書・出来高・原価の伝票は工事コードや取引先コードが書類の中に書いてある。領収書や現場からの報告は金額と日付は読めてもどの現場の分かが書かれていないので、人が教える作業が残る

渡す前に形を整えた方がいいですか

整えない方がいいです。

ファイル名を統一する、フォルダを分ける、Excelの体裁を揃える。どれも良さそうに見えますが、その作業をするのは人です。読ませるために人が手を動かしていたら、減らしたかった手間がそのまま残ります。

整えるのは、AIが読んだ後にやらせます。

まとめ

  • 写真で十分。人が読める写真なら読める
  • 元がExcelならExcelのまま。PDFに変換しない
  • 枚数が多いときは分けて渡す
  • 手書きは数字と短い単語なら読める。社内の略号は教えれば読める
  • 読めることと、行き先が決まることは別
  • 確認は残す。なくすのは打ち込む作業
  • 図面は拾えるが、合っているかを決めるのは人に残る
  • 会社で使うなら、契約の形を先に確認する
  • 始めるならコードが書いてある書類から
  • 渡す前に人が形を整えない

迷ったら、今ある形のまま渡してみるのが早いです。だめだったときに、何がだめだったかが分かります。

このテーマの記事はまとめ:社員とAI、ChatGPTの使い方、AIの担当者に読む順番で並べています。


まず全体像を知りたい方は建設会社のAI導入 30分説明会へ。自社の書類をどの形で渡すか個別に相談したい方は無料相談をご利用ください。AI顧問が何をする仕事かはこちらにまとめています。

AUTHOR

﨑元 理安(ARCFEELGROUP株式会社 代表取締役)

土木・建築・設備の建設グループ(110名・3業種)の社長として、自社でのAIツール8本の内製を主導。 評論ではなく、当事者としての実装記録を書いています。

ARCFEEL × AI について

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