← ブログ一覧へ

2026年7月26日

AIに書かせると、どれも同じ顔になる——「一個前とあまり変わらない」と言われて作った仕組み

私たちは、土木・建築・設備の3業種、約110名の建設会社を経営しています。建設業は20年以上やってきて、この1年ほどは、社内で使うAIツールを自分たちで作りながら回しています。

今日は、うまくいかなかった話です。

自社のブログ記事を、AIを使いながら書き溜めていた時期があります。本数はそれなりに増えました。ところがある日、書き上がったものを読んだ社内から、こう言われました。

「これ、一個前とあまり変わらないね」

読み返してみたら、確かにそうでした。テーマは違うのに、読み終わったあとの感じが同じなんです。

なぜ、AIに書かせると似てくるのか

しばらく考えて、腑に落ちた説明があります。

AIは、たくさんの文章を読んだうえで「こういうときは、だいたいこう書く」という真ん中を出してきます。真ん中なので、破綻しません。読みやすいし、それなりに整っています。

でも、真ん中を出し続けると、全部が真ん中になります

しかも厄介なことに、1本ずつ読んでいる限りは気づきません。どれもそれなりに読めるからです。並べて初めて、「同じ顔をしているな」と分かる。私たちが気づくのが遅れたのも、1本ずつ確認していたからでした。

まず、機械で測る仕組みを作りました

そこで、書き上がった原稿と、これまでに公開した記事を全部つき合わせて、文章がどれくらい似ているかを数字で出す仕組みを作りました。

これは効きました。似すぎているものは、レビューに出す前に自分で気づけます。

ただ、しばらく使ってみて、限界も分かりました。この数字は、文字面しか見ていないんです。

実際にこういうことがありました。数字の上では「まったく問題なし」と出た原稿があったのですが、読んでみると、前の記事と話の運び方がそっくりでした。

「この仕事にAIは使えるか」→「丸ごとはまだ無理」→「下ごしらえなら使える」→「まず自社のやり方を言葉にしよう」

この流れです。テーマは図面と見積もりで別なのに、進み方が同じ。使っている単語が違うので、機械は別物だと判定していました。でも読者からすれば、同じ記事を2回読まされたことになります。

「話の型」を1行で書き出して、台帳に並べました

なので、二層目を足しました。

記事ごとに、話の進み方を1行で書き出しておくんです。「問いを立てる→自社の失敗→分かったこと→最初の一歩」といった具合に。それを台帳に並べておいて、新しく書くときは必ず突き合わせます。

型が既存とかぶっていたら、テーマが新しくても書き直す。これで、機械が見逃す「同じ顔」をかなり止められるようになりました。

面白かったのは、書き出してみると自分の癖がはっきり見えたことです。放っておくと、私たちは何でも「失敗談→教訓→小さく始めよう」の形に流れていました。書いている本人が一番気づいていなかった部分です。

それでも、機械では止められないものが残ります

正直に書いておくと、二層にしても止まらないものがあります。

中身が薄いときです。

同じ主張を、見出しを変えて4回言い換えているだけ、という原稿を書いてしまったことがあります。重複はしていないし、型も新しい。数字も台帳も通ります。でも読むと、何も言っていない。

これは結局、素材が足りないまま書き始めたのが原因でした。だから今は、書き始める前に「この話に、山場が一つでもあるか」を確かめることにしています。無ければ書きません。

道具で防げるのは「同じもの」までで、「薄いもの」は人が止めるしかない。ここは割り切りました。

素材は、過去に自分たちが書いたものの中にありました

では、その「山場」をどこから持ってくるのか。

私たちの場合は、過去に書いた文章の中にありました。以前、代表が自分の言葉で書き溜めていた文章が残っていたので、それを全部集めて保管し、一本ずつ分解して台帳にしました。この失敗談はここで使える、この言い回しは残しておきたい、という具合にです。

読み返してみると、当時の生々しさが残っているんですよね。うまくいかなかった話、途中でやめた話、思っていたのと違った話。こういう部分は、AIには絶対に出せません。その会社で実際に起きたことだからです。

台帳にしたうえで、一つのエピソードは一回しか使わないと決めました。使ったら印をつけて、次からは選ばれないようにする。これをやらないと、同じ話を手を変え品を変え出すことになり、結局また同じ顔に戻ります。

この「在庫」は、どの会社にもあると思います。日報、報告書、現場の写真、社内の伝達。すでに社内にあるものが、そのまま素材です。図面が会社の記憶であるのと同じで、日々の記録も、探せる形になっていれば資産になります。

建設会社が文章にAIを使うときの勘所

自社の話が長くなりましたが、これは記事に限った話ではありません。

たとえば、求人票。人手不足の中で採用に困っている会社は多いと思いますが、AIに書かせた求人票は、どこの会社もよく似た文章になります。「アットホームな職場」「未経験歓迎」「風通しの良い社風」——読む側からすると、区別がつきません。人手不足を採用だけで解決しようとするのが難しいのと同じで、他社と同じ文章では選ぶ理由になりません。

同じことが、会社案内、現場ブログ、お客様への案内文にも言えます。

ではどうするか。私たちがやっているのは単純で、AIには整えてもらい、中身は自分で入れるという分け方です。

求人票なら、「先月入った人が最初の1週間で何をしたか」を自分で書く。現場ブログなら、「その日の現場で実際に困ったこと」を自分で書く。その素材をAIに渡して、読みやすく整えてもらう。

逆にやってはいけないのは、素材を渡さずに「建設会社の求人票を書いて」と頼むことです。真ん中しか出てきません。AIに何を頼めるかの感覚は、このあたりから掴めてくると思います。

よくある質問

Q. AIで書いた文章は、読む人に分かってしまいますか?

A. 1本だけなら、たいてい分かりません。分かるのは、同じ会社の文章を続けて読んだときです。似た形が並ぶと、読み手はなんとなく気づきます。だから私たちは、1本ごとの出来より、並べたときの違いを気にするようにしています。

Q. 記事の類似度を測る仕組みは、どんな会社でも作れますか?

A. 自分たちで作らなくても、まずは「前に書いたものと並べて読む」だけで、かなりの部分は防げます。私たちが仕組みにしたのは、本数が増えて人の目で追えなくなったからです。数本の段階なら、並べて読むので十分です。

Q. 結局、AIに書かせない方がいいのでしょうか?

A. そうは思っていません。整える力は本当に高いので、素材さえこちらで用意すれば、書く時間はかなり短くなります。問題はAIではなく、素材を用意せずに丸投げする使い方の方だと思っています。


まず全体像を知りたい方は建設会社のAI導入 30分説明会へ。自社の発信や求人の文章について個別に相談したい方は無料相談をご利用ください。AI顧問が何をする仕事かはこちらにまとめています。

AUTHOR

ARCFEELGROUP株式会社

ARCFEELGROUP株式会社。土木・建築・設備の建設グループ(110名・3業種)で、 建設業のIT/DXとAI活用ツールの内製を担っています。評論ではなく、当事者としての実装記録を書いています。

ARCFEEL × AI について

続きは、実画面でどうぞ。

AIで会社がどう変わったか、私たち自身の実画面を30分でお見せする無料説明会を月2回開催しています(Zoom・顔出し不要・建設業を営む会社さま限定)。 相談まではまだ、という方には3分の経営課題チェックも(登録不要・無料)。

新着記事のお知らせはメルマガ(不定期)でも受け取れます。