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実務Q&A2026年9月9日

いまのExcelとCSVをそのまま取り込めますか——先に整理しておく「データの形」5つ

この記事は「実務Q&A」です。調べ物のための記事です。結論を先に書いています。読み物としての記事は、ブログ一覧の「読み物」からどうぞ。

「いまうちが使っているExcelを、そのまま取り込めますか」。先にお答えすると、たいていは取り込めます。手が止まるのは、中身ではなく形が揃っていないときだけです。

ケンセツベースは、約110名の建設グループ(ARCFEELGROUP株式会社)が自分たちのために作って毎日動かしているAIの道具を、貴社の業務に合わせて作り直してお渡しし、その後の運用まで引き受けるサービスです。社内では2026年1月に着手し、約半年で8本を内製しました。

その中でいちばん時間を使ったのが、新しいアプリの機能ではなく、すでにある表を読める形にすることでした。既存データの引き継ぎ、いわゆるデータ移行の前に何を見ておくと早いのかを書きます。

いまのExcelとCSVは、そのまま取り込めますか?

たいていは取り込めます。止まるのは、中身が足りないときではなく、形が揃っていないときです。

CSVとは、表の各行をカンマで区切っただけの、飾りのないテキストファイルのことです。Excel(エクセル)からも書き出せます。ExcelでもGoogleのスプレッドシートでも書き出せる、素朴な形。会計ソフトや銀行のサイトから落ちてくるのも、たいていこれです。

自社のグループ各社から出てきた表も、きれいに整った台帳ではありませんでした。何年も継ぎ足されて、途中で担当が代わって、列が増えていった表です。それでも動くところまでは持っていけました。ただ、先に見ておく所があります。

取り込む前に、何を見るのですか?

五つです。1行が何を表しているか、同じものが同じ名前で書いてあるか、日付と数字が文字になっていないか、1つのセルに2つ入っていないか、更新のたびに列が増えていないか。

1行が何を表しているか。 1行が1件なのか、1日なのか、1現場なのか。ここが混ざっている表は、人が見れば分かる。機械は数えられません。

同じものが同じ名前で書いてあるか。 得意先名の株式会社が前と後ろで揺れている、現場名が略称と正式名で混ざっている。ここが揃っていれば、あとの集計はほとんど自動で済みます。

日付と数字が文字になっていないか。 「2026/9/1」と「9月1日」と「R8.9.1」が同じ列にあると、並べ替えが効かない。金額に単位や全角が混ざっているのも同じ。

1つのセルに2つ入っていないか。 「渋谷現場(追加分)」のように、名前と但し書きが1マスに入っている形です。人には親切な書き方。ただ、分ける作業が後から要ります。

更新のたびに列が増えていないか。 月ごとに右へ列を足していく表は、読み込むたびに形が変わる。行を足していく形にできると、そこから先が楽になります。

取り込む前に見る五つの図解。1行が何を表しているか(1件なのか、1日なのか、1現場なのか)/同じものが同じ名前で書いてあるか(現場名が略称と正式名で混ざっている)/日付と数字が文字になっていないか(並べ替えが効かない)/1つのセルに2つ入っていないか(名前と但し書きが1マスに入っている)/更新のたびに列が増えていないか(行を足していく形にできると楽)

取り込めない形は、どんなものですか?

人に読ませるための工夫が、そのまま機械の障害物になります。結合セル、途中の小計行、色分けだけで意味を持たせた欄の三つです。

結合セルは、見出しを見やすくするための工夫。ただ機械から見ると、隣の行にデータが無いように見えます。

途中の小計行は、合計と明細が同じ列に並ぶ。そのまま数えると二重に足されます。

色分けだけで意味を持たせた欄は、いちばん惜しい形です。「赤は未入金」という決めごとが会社の中にあっても、その情報はファイルに文字として残っていない。列を一つ足して「未入金」と書いてあれば、そのまま使えます。

取り込めない形の三つの図解。結合セルは機械から見ると隣の行にデータが無いように見える/途中の小計行は合計と明細が同じ列に並び、そのまま数えると二重に足される/色分けだけで意味を持たせた欄は、決めごとがあってもファイルに文字として残っていない。列を一つ足して「未入金」と書いてあれば、そのまま使える

直すのは、こちらですか、会社側ですか?

形の直しはこちらでやります。会社にしか決められないのは、呼び方と分類です。

結合セルを外す、日付を揃える、小計行を落とす。こうした作業は取り込みの準備として引き受けます。手作業ではありません。変換の手順を書いて、毎回同じように通す形にします。

一方で、「この現場名とあの現場名は同じものか」「この費目はどの工種に入れるか」は、会社の決めごとです。ここを私たちが推測で埋めると、動いてはいるが数字が信用できない状態になります。分からない分は分からないまま残し、画面で直せる形にしておく方が結果的に早いです。

この線引きと地続きの話は、アプリは作れるようになる。でも大事なのはデータの方だったにも書きました。あちらがなぜデータが要になるのかという話で、こちらは実際に取り込むとき何を見るかという分け方です。

木の机で、ストライプのシャツの人が電卓を指で押している手元。右にノートPCのキーボード、奥に観葉植物。顔は写っていない

社内では、どんな表から始めたのですか?

既存のExcel(エクセル)から始めた道具が二つあり、いまは財務諸表24期分と、109口座ぶんの残高記録1,144件が入っています。

一つは経営ダッシュボードで、財務諸表24期分、明細146行、部門ごとの月次96件、中期計画24件が入っています。得意先は55社です(2026年9月8日時点)。もう一つがキャッシュフローの管理で、口座を管理しているグループ会社が19社・109口座、残高の記録が1,144件たまりました。

どちらも、最初から専用の入力画面を作ったわけではありません。ふだん使っているExcelをそのまま出してもらい、読める形に変える所から始めました。入力のやり方を変えずに済んだ。だから続いています。

数字の並べ方や見る順番の話は経営会議の資料はAIで作れる?にまとめてあります。

表の形を、少しだけ機械の側へ寄せる

どの道具を入れるかを考える前に、いまの表がどういう形をしているかで、できることの多くが決まります。

新しく何かを買えば解決する、という話ではない。すでに社内にある表の形を、少しだけ機械が読める側へ寄せる作業です。作り込みの中身は作りますに、作ったあとのデータ整備はやりますにまとめてあります。

よくいただくご質問

Q. 何年も使ってきたExcelなので、途中で形が変わっています。それでも大丈夫ですか。

よくある形で、そのまま持ってきていただいて構いません。年度の途中で列が変わっている表は、変わった時点で区切って読み込みます。全部を1つの形に直してから渡す必要はありません。

Q. データを渡す前に、社内で整えておいた方がいいですか。

整えなくて大丈夫です。むしろ、手を入れる前の状態を見せていただいた方が、どこが揺れているかが分かります。整えてから渡すと、その整え方を毎月続けることになってしまいます。

Q. 会計ソフトから出したCSVは使えますか。

使えます。会計ソフトの書き出しは形が決まっているので、手で作った表より扱いやすいことが多いです。ただし、どの科目をどの分類に入れるかは会社の決めごとなので、そこは一緒に決めます。

Q. 取り込んだ後、元のExcelは使わなくなりますか。

すぐには変わりません。しばらくは両方が動きます。片方に寄せるかどうかは、新しい形で数字が合っていることを確かめてから決める方が安全です。

いまの表を、そのまま見せてください

データの形の話は、整えないまま実物を見るのがいちばん早いです。

日報でも、経費の集計でも、受注の予定表でも構いません。1つ見せていただければ、そのまま読める所と、先に決めていただく所を、その場で分けてお話しできます。直す必要が無ければ、無いと申し上げます。

このテーマの記事はまとめ:建設会社のAI導入、何から始めて何でつまずくかに読む順番で並べています。


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AUTHOR

ケンセツベース(ARCFEELGROUP株式会社)

土木・建築・設備の建設グループ(110名・3業種)が、自社でのAIツール8本の内製を主導しました。 評論ではなく、当事者としての実装記録を書いています。

ケンセツベースについて

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続きは、実画面でどうぞ。

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