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読み物2026年10月5日

建設業の人手不足はなぜ解消しないのか——AIを社内で回して見えた「本当の原因」

「人が足りない」と言い続けて、何年経ったでしょうか。

正直に書くと、私たちも同じでした。求人を出し、単価を上げ、それでも足りない。ところが社内でAIの道具を八本ほど作って回してみて、足りていなかったのは人の頭数ではなく、人の時間の使い方だったと気づきました。

私たちは土木・建築・設備をやる建設会社です。2026年1月から約半年、社内で使う道具を自分たちで作りながら動かしてきました。その範囲で見えたことを書きます。

作業着の人が、固定電話の横でクリップボードの書類にボールペンで書き込んでいる手元——記録や転記は現場でも事務でも人の時間を使う

足りないのは「人」ではなく「割ける時間」でした

人手不足の話をするとき、たいてい採用の話になります。でも、私たちが最初に測ったのは採用ではなく、いまいる人が何に時間を使っているかでした。

すると、こういうものが出てきます。

  • 領収書を工事コードに振り分ける
  • 議事録を書き起こして清書する
  • 同じ数字を別の表に打ち直す
  • 「あの書類どこ」を探す

どれも、技術者にしかできない仕事ではありません。 それなのに、技術者の時間がここに吸われていました。

人が足りないのではなく、人にしか頼めない仕事に、人が回せていないわけです。

技術者の時間が吸われていた仕事の図解。どれも技術者にしかできない仕事ではないのに技術者の手元にあった4つ——領収書を工事コードに振り分ける/議事録を書き起こして清書する/同じ数字を別の表に打ち直す/「あの書類どこ」を探す

なぜ採用を増やしても解消しないのか

理由はシンプルでした。

増やした人も、同じ雑務に吸われるからです。

一人採ると、一人分の書き起こしと打ち直しと探し物が増えます。器を大きくしても、水が漏れる穴がそのままなら、水位は上がりません。(採用だけでは人手不足は解消しないで、就業者数と年齢構成の側からも書きました)

いまの形 何が起きているか
足りない→採用する 採った人も雑務に吸われる
単価を上げる 雑務の量は減らない
残業で埋める 続かない・辞める

私たちは、先に穴の方を塞ぐことにしました。順番の問題だと思っています(建設業の2024年問題と残業3種類でも、残業を分けて消す順番の話を書いています)。

「割れる仕事」から先に抜く

やったのは難しいことではありません。現場でやっている割り方を、そのまま事務所に持ち込んだだけです。

その仕事、もう一段細かく割れませんか。

議事録なら「書き起こす/まとめる/決める」に割れます。このうち書き起こしは機械に頼めます。決めるところは人が見る。こう割ると、人にしか頼めない部分だけが人の手元に残ります。

「割れる仕事」から先に抜く図解。議事録を3つに割ると、①書き起こす(機械に頼める)→②まとめる(人と機械)→③決める(人が見る)となり、人にしか頼めない「決める」だけが人の手元に残る

効いたのは、一つの面倒を消す小さい道具でした。数日で形になるものもあります。壮大な仕組みより、地味に面倒な仕事を一つずつ抜く方が、現場は軽くなりました。

数字で言えること、言えないこと

効果を大きな数字で言えるほどは、まだ溜まっていません。ここは正直に申し上げておきます。

ただ、確かに変わったのは、技術者が図面や現場に戻れる時間が増えたことです。打ち直しに使っていた時間が、本来の仕事に戻りました。

「人が増えた」わけではありません。一人あたりが、人にしか頼めない仕事に使える時間が増えた。人手不足の実感は、ここでずいぶん変わる気がしています。

よくある質問

Q. 小さい会社でも意味がありますか?

小さい会社の方が、一人が何役もやっています。その分、雑務に吸われている時間も見えやすいです。まず一人の一日を一枚に書き出してみてください。割れる仕事が、思ったより多いはずです。

Q. 現場が覚えてくれるか不安です。

現場に新しい手順を一つでも頼む設計だと、そこが止まる場所になります。だから私たちは、現場の手間が増えない側から入れました。覚えることを増やさない、が入り口だと感じています。


人手不足は、頭数だけの問題ではないのかもしれません。

足りないのは人ではなく、人にしか頼めない仕事に割ける時間だった。 そこを疑ってみると、明日できる一手が一つ見えてくるのではないでしょうか。

 

このテーマの記事はまとめ:建設会社のAI導入、何から始めて何でつまずくかに読む順番で並べています。


いまいる人の時間をどこから取り返すか、自社の場合はどうか、個別に相談したい方は相談する(フォーム・送信後に折り返し)をご利用ください。建設業のAI屋として何をして、何をしないかはこちらにまとめています。

AUTHOR

ケンセツベース(ARCFEELGROUP株式会社)

土木・建築・設備の建設グループ(110名・3業種)が、自社でのAIツール8本の内製を主導しました。 評論ではなく、当事者としての実装記録を書いています。

ケンセツベースについて

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