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読み物2026年10月12日

「人手不足をAIで解決」は、たぶん半分うそです——私たちがやってわかった、効く順番

結論から申し上げると、AIは人手不足そのものを解決しません。解決するのは、「その人がやらなくてもいい仕事」を減らすところまでです。ここを取り違えると、ツールを入れても現場は楽になりません。

私たちは、土木・建築・設備の3業種、約110名の建設会社を経営しています。建設業は20年以上、2026年1月から約半年は社内で使うAIツールを自分たちで作りながら回してきました。今日は、その中で見えてきた「効く順番」の話です。

青いタイムレコーダーの表示は17時34分。横に未記入のタイムカードが4枚並んでいる(人物は写っていない)

「人が足りない」の中身を分けてみる

人手不足と一口に言いますが、私たちが自社を見直したとき、中身は3つに分かれていました。

  • 技術を持った人が足りない(施工管理、職長)
  • 事務や集計をする人が足りない(勤怠、出面、請求のとりまとめ)
  • 誰でもできるが、誰かがやらないと回らない仕事が多すぎる

このうち、AIがまともに効くのは3つ目だけです。1つ目は、AIでは埋まりません。20年やってきた人の感覚は、そう簡単に移せない。ここを正直に切り分けないと、期待した場所と効いた場所がズレます。

「人が足りない」の中身を分けてみる図解。技術を持った人が足りない(施工管理、職長)=AIでは埋まらない。事務や集計をする人が足りない(勤怠、出面、請求のとりまとめ)。誰でもできるが、誰かがやらないと回らない仕事が多すぎる=AIがまともに効くのは3つ目だけ

私たちが最初に手をつけたのは、集計でした

派手なところではなく、地味なところから始めました。勤怠と出面の集計です。

自社では、夜勤や日跨ぎの人がいると、月末の勤怠集計に事務が長い時間をかけていました。手で拾って、手で足して、検算する。この作業自体は価値を生みません。でも、間違えると給与がズレます。(実際にズレた話は夜勤0時間、残業0時間、遅刻13時間に書きました)

ここを内製のツールで数える形にしたら、その作業が、確認だけで済むようになりました。事務が一人増えたわけではありません。一人ぶんの手が、別の仕事に戻っただけです。

ただし、ここで大事なのは順番です。集計をAIに任せる前に、まず自分たちの数え方を言葉にする必要がありました。夜勤は何時からか、日跨ぎはどちらの日に付けるか。ここが曖昧なままだと、AIは曖昧なまま速く間違えます。

ここで大事なのは順番、という図解。まず=自分たちの数え方を言葉にする(夜勤は何時からか、日跨ぎはどちらの日に付けるか)。そのあと=集計をAIに任せる(勤怠と出面の集計)。曖昧なままだと、AIは曖昧なまま速く間違える

月末の締めそのものの話は月末の締めが遅いのはなぜ?に書いています。

人を増やす前に、やらなくていい仕事を数える

もし御社で「人が足りない」と感じているなら、いきなりツールを探す前に、試せる小さな一歩があります。

先月、事務や現場の人が「集計・転記・とりまとめ」に何時間使ったか、ざっくりでいいので数えてみてください。

おそらく、思っていたより多いはずです。そしてその多くは、その人でなくてもいい仕事です。人を一人採るのは半年仕事ですが、この時間を削るのは、もっと早く効いてきます。

私たちも、採用が一番の解決だと思っていた時期がありました。今は少し違います。採る前に、やらなくていい仕事を減らしておく。そうしないと、増えた人がまた同じ集計に飲まれます。(採用の側から見た話は建設業の人手不足は、採用だけではたぶん解決しないに書きました)

AIは「土台」の上でしか効かない

最後に、正直に書いておきます。

AIを入れれば人手不足が解ける、という話ではありませんでした。数え方が決まっていない会社にAIを入れても、混乱が速くなるだけです。逆に、数える土台がある会社では、AIは静かによく効きます。

だから私たちは、便利な機能を探す前に、自分たちの仕事の数え方を整えることから始めました。地味ですが、これが一番効いています。

このブログでも、うまくいった話もそうでなかった話も、私たちの試行錯誤として正直にお届けしていきます。御社でも、まずは先月の集計時間を数えるところから始めていただければと考えています。


よくある質問

Q. AIを入れれば、人手不足は解決しますか。

AIは人手不足そのものを解決しません。解決するのは、「その人がやらなくてもいい仕事」を減らすところまでです。技術を持った人が足りない、という不足はAIでは埋まりません。

Q. 何から手をつければいいですか。

先月、事務や現場の人が「集計・転記・とりまとめ」に何時間使ったかを、ざっくり数えるところからです。集計をAIに任せる前に、まず自分たちの数え方を言葉にしておきます。

このテーマの記事はまとめ:建設会社のAI導入、何から始めて何でつまずくかに読む順番で並べています。


人を増やす前にどの仕事から減らすかを自社の場合で相談したい方は相談する(フォーム・送信後に折り返し)をご利用ください。建設業のAI屋として何をして、何をしないかはこちらにまとめています。

AUTHOR

ケンセツベース(ARCFEELGROUP株式会社)

土木・建築・設備の建設グループ(110名・3業種)が、自社でのAIツール8本の内製を主導しました。 評論ではなく、当事者としての実装記録を書いています。

ケンセツベースについて

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