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実務Q&A2026年9月5日

月末の締めが遅いのはなぜ?——早くなったのは「締めてから」ではなく「締める前」でした

この記事は「実務Q&A」です。調べ物のための記事です。結論を先に書いています。読み物としての記事は、ブログ一覧の「読み物」からどうぞ。

「月末の締めが、毎月きつい」。よく聞かれる相談です。ここでいう締めとは、その月の経費・請求・勤怠をいったん確定させて、数字を経理と会計事務所へ渡せる形にするまでの一連の作業を指します。

先に答えを言い切ります。うちで短くなったのは、締めてからの作業ではありませんでした。締める前——経費や勤怠や資金の数字が事務所に届くまでの時間です。

うちは土木・建築・設備の3業種、約110名の建設グループです。2026年1月に社内向けのAIツールづくりへ着手し、4月11日から実際の業務データで回してきました。締める側として、聞かれた形のまま答えます。

月末の締めが遅れる理由の図解——月末から数字が揃うまでの時間のうち、長いのは数字が事務所に届くまでの待ちで、締めの作業そのものは短い

なぜ月末の締めは遅れるのですか?

締めの作業そのものが重いからではなく、締めに使う数字が集まりきるのを待っているからです。

経理の手元で起きていることは、二つに分かれます。数字を待っている時間と、揃った数字を処理している時間です。うちで見たかぎり、長いのは待っている方でした。

処理の方は、慣れた人がやれば案外速いんですよね。止まるのは、あと三人ぶんの領収書が来ていない、あの現場の日報が抜けている、通帳の記帳がまだ、といった場面です。

だから、締めてからの作業をいくら速くしても頭打ちになります。動かせるのは待ち時間の方でした。

待ちは、どこで起きているのですか?

振り返ると、経費・勤怠・資金の三か所に集まっていました。

領収書は月末にまとめて出てきます。現場の勤怠が紙で戻るのは月初になります。銀行の残高と借入の残りは、月に一度まとめて拾い直していました。

三つとも「月が終わってから集める仕事」として組まれていたので、集め終わるまで締めに入れません。締めの開始日が、後ろに固定されていたわけです。

経費の数字は、どうやって締める前に揃えたのですか?

月末にまとめて出す形をやめて、手元にある時点で出せる形にしました。

社内で作った経費精算の仕組みで、2026年9月4日の時点までに領収書414件(うち8月6日から9月4日までの30日間で117件)を処理しています。1つのPDFに複数枚が入っていても、分けて取り込めるようにしました。

月末の経費まわりの作業は、自社試算で3時間から30分ほどになる計算です(実測ではなく、説明会でお見せしている試算の数字です)。

ただ、効いたのは時間の長さより、領収書が締めの前に事務所へ入っている状態でした。経費精算の面倒の正体では、その入口を変えても残った面倒の話を書いています。

自社で内製した経費精算AIの実運用画面

勤怠は、月が終わらないと分からないのではありませんか?

その日のうちに届く形にしておけば、月末の時点でほぼ出そろっています。

うちの勤怠は、職人さんがふだん使っているLINEから送ってもらう形にしました。2026年4月11日から9月4日までで累計6,867件、うち8月6日から9月4日までの30日間では1,857件の打刻が入っています(自社データベースの実測)。

紙で回していたころは、月初に束が戻ってきて、そこから読み合わせをしていました。今は月末の夕方に一覧が出ている状態から締めに入れます。

抜けが分かる時期も変わりました。以前は締めの途中で「この日の記録が無い」と気づき、現場に確認してまた止まっていました。日々入っていれば、抜けはその週のうちに埋まります。仕組みの中身はLINEで日報を出す仕組みの作り方で説明しました。

スマートフォンを指で操作する手元の写真

資金の数字まで、締める前に要るのですか?

要ります。損益——その月の儲けの計算です——が締まっても、現金がどこにいくら残っているかが分からなければ、その月の判断には使えないからです。

うちはキャッシュフローのアプリで、グループ各社の銀行口座109口座を見ています。残高の記録は1,144件、借入は43本、月ごとの借入のまとめは219件です(同じく9月4日時点の実測)。

以前は、月ごとの資料を作る時点で残高と借入を集め直していました。集め直す仕事は、締めの後ろにしか置けません。日々入る形にすると、締めのときにはもう並んでいます。

数字が未入力の会社が「0」と表示され、正しい顔で合計に混ざっていたことがありました。この顛末は毎朝、全社の現金が見えるようにしたらにあります。

試算表が出てからAIに読ませるのでは足りないのですか?

読ませるのは効きます。ただ、その紙が事務所に届く日は、読ませ方をどれだけ工夫しても動きません。

試算表とは、その時点までの勘定科目——現金・売掛金・外注費といった、帳簿でお金を分類する項目のことです——ごとの残高を一枚に並べた表で、会計事務所から受け取る資料です。読む速さと届く速さは別の話で、うちが手を付けたのは届く速さの方でした。

決算書・試算表はAIに読ませられる?では、何と頼むか、建設業の科目をどう渡すかを扱っています。あちらが読ませ方、こちらが届く日の話だとお考えください。

届く日を動かしてから読ませ方を工夫する方が、体感は大きいと思います。届くのが遅いままだと、速く読めても遅いままですから。

税理士さんとの分担は変わりましたか?

変わっていません。早めたのは、税理士さんにお渡しするまでの手前だけです。

決算・申告・税務の判断は、これまでどおり税理士さんにお願いしています。うちが触るのは社内の数字を集めて形にするところまでで、その先の線は動かしていません。

変わったのは、資料をお渡しできる時期が前に寄ったことです。それだけで、打ち合わせで話せる中身が違ってきました。AI導入が会社の数字のどこに効いたかは損益計算書のどの行に効くのかで行ごとに見ています。

何から手を付ければいいですか?

いちばん遅く届く数字から、一つだけ選んでください。三か所を同時に触ると、たいてい途中で行き詰まります。

経理の方に「今月、何を待っていましたか」と聞けば、だいたい即答されると思います。

うちの順番は、経費、勤怠、資金でした。ただ、これは会社ごとに違います。元請1社の専属で経費がほとんど無い会社なら、勤怠が先になるでしょう。

一つ動かして締めが軽くなったのを確かめてから、次に進みました。全部を一度に変えるより、結局は速く着いたと思っています。どの仕事から任せるかの物差しは社内にAIを入れるとき、どの仕事から任せる?にまとめました。あちらが仕事の選び方、こちらは締めの前工程という分け方です。

よくいただくご質問

Q. 締める前に集め直すと、経理の手間はかえって増えませんか。

増えませんでした。集める回数は増えますが、一回あたりが小さくなります。月末に三人ぶんまとめて確認するより、届いた日に一人ぶんずつ見る方が、経理の負担としては軽いようです。月末に山ができないことの方が効きました。

Q. 現場に新しい入力をお願いすることになりませんか。

そこは設計の条件にしました。勤怠はいつものLINEで、経費はスキャンか写真だけにしています。新しい操作を覚えてもらう形にすると、忙しい月から抜けが出て、結局は事務所が埋めることになります。頼み方が合っていない仕組みは続きません。

Q. 締め日そのものを早める必要がありますか。

先に締め日を動かすのはおすすめしません。数字が届く日が変わらないまま締め日だけ前に出すと、間に合わない分を後から直す作業が増えます。動かす順番は、届く日が先で、締め日は後です。

まず、いちばん遅く届く数字を一つ数えてみてください

月末の締めが遅いとき、原因は締めの作業の中にあまりありません。締めに入る前の待ち時間にあります。

紙とペンで足ります。先月、経理が何を待っていたか。それが事務所に着いたのは何日だったか。書き出すと、手を付ける場所は一つに絞れると思います。

うちがやったのも、結局はその一つを動かして、次の一つへ進んだことの繰り返しでした。数え方の確認からでも構いませんので、説明会や無料相談を使ってみてください。

このテーマの記事はまとめ:建設業の経費精算・資金繰り・経営の数字に読む順番で並べています。


まず全体像を知りたい方は建設会社のAI導入 30分説明会へ。数字が事務所に届くまでのどこが詰まっているか、個別に相談したい方は無料相談をご利用ください。AI顧問が何をする仕事かはこちらにまとめています。

AUTHOR

﨑元 理安(ARCFEELGROUP株式会社 代表取締役)

土木・建築・設備の建設グループ(110名・3業種)の社長として、自社でのAIツール8本の内製を主導。 評論ではなく、当事者としての実装記録を書いています。

ARCFEEL × AI について

続きは、実画面でどうぞ。

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