← ブログ一覧へ
実務Q&A2026年9月5日

社員数10〜30人の建設会社にAIは必要か——判断の分かれ目は人数ではなく「毎日の事務の枚数」

この記事は「実務Q&A」です。調べ物のための記事です。結論を先に書いています。読み物としての記事は、ブログ一覧の「読み物」からどうぞ。

社員数10〜30人の建設会社にAIは必要か——分かれ目は人数ではなく毎日の事務の枚数

「うちみたいな規模の会社に、AIなんて要るのか」。中小の建設会社、とくに社員数10〜30人の会社の社長さんが一度は考える問いだと思います。先に答えを言い切ります。

AIが要るかどうかは、社員数では決まりません。決まるのは「毎日発生する事務の枚数」と「それを処理している人数」の釣り合いです。 10〜30人の会社は、この釣り合いが崩れやすい規模なので、実は効果が見えやすい側にいます。

うちは土木・建築・設備をやっている建設グループ(社員約110名)で、2026年1月からAIツールを自社で作りながら社内で回してきました。グループ全体では110名ほどで10〜30人の会社そのものではありませんが、グループは会社の集まりで、1社ごとの事務は少人数で回っています。その実感の範囲で、当てはまる話とそうでない話を分けて書きます。

なぜ10〜30人の会社で効きやすいのですか?

理由は、事務が1〜2人に集中しているからです。大きい会社より、1本の道具が効く面積が広いんです。

社員20人の会社でも、日報・勤怠・領収書・請求書は毎日毎月、人数分きちんと発生します。ところがそれを受け止める側は、事務担当の1〜2人と、経理を兼ねた社長の家族、あるいは社長本人だったりします。大きい会社なら何人かで割っている枚数を、2人で受けている。枚数は人数に比例して減ってくれないのが事務仕事です。

もうひとつ、この規模ならではの強みがあります。意思決定が速いことです。「来月からLINEで打刻に変えます」を、会議を通さずに社長の一言で始められる会社が多いのではないでしょうか。

うちのグループでは、ふだん使っているLINEに送るだけの形にした勤怠が、1日60件前後で動いています(2026年9月4日時点の30日平均・自社データベースの実測)。こういう仕組みは、決めごとを変えるのが速い会社ほど、早く立ち上がります。

丸めた図面を抱え、ヘルメットを手に持った人が建設中の建物を見ている後ろ姿の写真

逆に、入れない方がいい場合はありますか?

あります。毎日の事務の枚数が、そもそも薄い場合です。

たとえば元請1社の専属で、日報も請求も月にまとめて数枚、事務は半日で終わっている——そういう会社が無理にAIを入れても、減らす手間がもともと無いので、効果を実感できません。実感できない道具は続きません。

もうひとつ、道具より先にくるものがあります。決めごとを一つ変えられるか、です。

AIの仕組みは、道具半分・決めごと半分です。たとえば経費なら「領収書は月末にまとめて出す」を「もらったその日にスキャンする」に変える——この決めごとの変更とセットで、はじめて道具が効きます。

うちでも、勤怠は「打刻はLINEで、その日のうちに」へ決めごとを変えたところから、道具が動き出しました。

「流行っているから」「取引先に聞かれたから」だけで入れるのも、順番としておすすめしません。先に自社の毎日の事務を紙に書き出して、どの仕事から任せるかの五つの物差しで印を付けてみてください。印がほとんど付かないなら、今はまだ入れどきではない、という答えも正解のうちです。

経営者が考え込む情景写真

事務担当が1人辞めたら、どうなりますか?

10〜30人の会社では、やり方がその人の頭の中にしかない事務ほど、辞めた日から誰も触れなくなります。こうした属人化した事務は、その人がいる間に仕組みへ移しておくのが安全です。

仕組みへ移しておく作業は、AIというより保険の話に近いのかもしれません。

なお、AIで人手不足そのものが解決するという話ではありません。採用と生産性のどちらを先にするかという大きい話は、建設業の人手不足は、採用だけではたぶん解決しないに1本でまとめています。

事務・経理作業の情景写真

10〜30人の会社は、最初の1本に何を選べばいいですか?

最初の1本は「毎日必ず発生して、枚数の多い事務仕事」から選ぶのが定石です。

順番の決め方は建設会社のAI導入は何から始めればいい?に1本でまとめています。

道具の選び方は、ChatGPTのような汎用AI・既製ツール・自社製の3種類の使い分けで考えると迷いにくくなります。10〜30人の会社なら、まずは汎用AIと既製ツールの組み合わせで十分に始められます。全部を一度に変える必要はなく、1本が回ってから次を考えれば足ります。

作業着とヘルメット姿の二人が、設備の通路で書類を見ながら話している写真

よくいただくご質問

Q. 事務担当が1人しかいません。それでも回りますか。

1人だからこそ効きます。枚数の多い仕事を1つ道具に移すと、その人の残業と、「辞められたときの怖さ」の両方に効いてきます。うちで先に効いたのも、この形でした。最初の1本は、その担当の方が「いちばん嫌いな作業」から選ぶと定着が早いです。

Q. パソコンが苦手な社員ばかりです。大丈夫ですか。

パソコンを増やさない形から始めるのが現実的です。うちの勤怠がLINEなのも、新しい操作を増やすより、いま毎日開いている画面に乗せた方が続いたからです。「新しい操作を増やさない」を設計の条件にしてみてください。

Q. 何人までの会社が対象ですか。

当社のAI導入伴走——社内のAI活用を月額で一緒に進める顧問サービスです——は、社員121名以上の会社はお受けしていません。当社自身が約110名の会社で、それより大きい組織のことは自信を持って約束できないからです。小さい側の制限はなく、いちばん小さい区分は15名までの会社向けです。規模が小さいことは、この分野では不利ではありません。

判断の物差し——毎日の事務の枚数と受けている人数の釣り合い。厚いなら10人の会社でも効く余地あり、薄いなら急がなくていい

まず、事務の「枚数」を数えてみてください

社員数ではなく、毎日・毎月の事務の枚数。日報が1日何枚、領収書が月に何枚、請求書が何枚。数えてみて枚数が厚いなら、10人の会社でもAIは効くと思います。薄いようなら、まだ急がなくていいんじゃないでしょうか。

この判断を自社の数字でやってみたい方は、紙とペンで30分あればできます。数えた結果を持って相談したくなったら、そのときが入れどきです。数え方そのものからで大丈夫です。30分説明会や無料相談を、数え方の確認の場としてお使いください。

このテーマの記事はまとめ:建設会社のAI導入、何から始めて何でつまずくかに読む順番で並べています。


まず全体像を知りたい方は建設会社のAI導入 30分説明会へ。自社の規模の場合はどうか、個別に相談したい方は無料相談をご利用ください。AI顧問が何をする仕事かはこちらにまとめています。

AUTHOR

﨑元 理安(ARCFEELGROUP株式会社 代表取締役)

土木・建築・設備の建設グループ(110名・3業種)の社長として、自社でのAIツール8本の内製を主導。 評論ではなく、当事者としての実装記録を書いています。

ARCFEEL × AI について

続きは、実画面でどうぞ。

AIで会社がどう変わったか、私たち自身の実画面を30分でお見せする無料説明会を月2回開催しています(Zoom・顔出し不要・建設業を営む会社さま限定)。 相談まではまだ、という方には3分の経営課題チェックも(登録不要・無料)。

次回の説明会: 2026年9月8日(火)16:00〜16:30 / 2026年9月30日(水)16:00〜16:30

まず資料だけ、という方へ ── 「12ヶ月標準カリキュラム」(PDF・23ページ)

1年で受け取る物・進め方・費用・セキュリティ・事例まで一冊にまとめた資料です。会社名とメールアドレスだけで、すぐお送りします。

ご入力の情報は本資料の送付と、説明会・相談のご案内以外には使いません(プライバシーポリシー)。

新着記事のお知らせはメルマガ(不定期)でも受け取れます。