建設業で使えるAI関連の補助金は?——2026年の本命「デジタル化・AI導入補助金」の使いどころ
この記事は「実務Q&A」です。調べ物のための記事です。結論を先に書いています。読み物としての記事は、ブログ一覧の「読み物」からどうぞ。
「AIを入れたいが、補助金は使えるのか」。この問いに、先に答えを言い切ります。
建設業のAI導入で使える国の補助金の本命は、長く「IT導入補助金」と呼ばれてきた制度=2026年から名前が変わった「デジタル化・AI導入補助金」です。 ただし、使える場面と使えない場面がはっきり分かれている制度なので、そこを先に知っておくと迷いません。
なお、うちは補助金の専門家ではありません。建設会社としてAIを社内で回している立場から、「どこで効いて、どこで効かないか」を整理する記事です。制度の細かい条件は、必ず公式サイトと支援事業者で確かめてください。
「デジタル化・AI導入補助金」とは何ですか?
デジタル化・AI導入補助金とは、中小企業がソフトウェアやクラウドサービスを導入する費用の一部を国が補助する制度です。旧「IT導入補助金」が2026年に改称したものです。
名前に「AI」が入ったのは、看板の掛け替えだけではありません。2026年からは、登録ツールの中からAI機能付きのものを絞り込んで探せるようになりました。国の制度の側が「AIを入れる中小企業」を正面から想定し始めた年、と言えます。
金額の目安は、いちばん基本の通常枠で、かかった費用の2分の1(賃上げなどの要件を満たすと3分の2)、上限450万円。ほかにインボイス対応やセキュリティ対策の枠もあります。※2026年9月時点の公募情報です。補助率・上限は枠や回次で変わるので、申請前に公式の公募要領で確認してください。
建設会社は、何に使えますか?
勤怠・経費・会計・施工管理など、事務局に登録された既製のITツールを導入するときに使えます。
建設業でいえば、施工管理のクラウドサービス、会計ソフト、勤怠管理、見積・請求のソフトあたりが定番です。毎日発生する事務仕事をソフトで楽にする——その導入費と利用料の一部を国が持ってくれる、という形です。
ここで大事な条件がひとつあります。この制度は、**「事務局に登録されたツールを、登録された支援事業者(IT導入支援事業者)を通じて導入する」**仕組みです。自分で好きなツールを先に買って、あとから申請する形ではありません。順番が逆になると対象外になるので、「入れたい物が決まったら、まず支援事業者に相談」が正しい動き方です。

自社専用のAIツールを作る費用には使えますか?
使えません。対象はカタログに登録された既製ツールの導入で、自社専用の開発は対象外です。
うちはここで補助金と道が分かれました。2026年1月から、AIツールを自社で作る側を選んだからです。理由は単純で、勤怠や経費のような毎日の仕事は、会社ごとの決めごとの塊で、自社の形に合わせたかったから。経費精算は領収書をスキャンするだけの形にして、これまでに414件を処理しています(自社データベースの実測)。
ただ、これはどちらが偉いという話ではありません。既製ツールで十分な仕事はたくさんあり、そこには補助金が効きます。既製で足りる仕事と、作った方が合う仕事の見分け方は汎用AI・既製ツール・自社製の3種類の使い分けに書きました。

補助金ありきで選んで、大丈夫ですか?
順番が逆になるのが、いちばんの失敗パターンだと思います。先に「どの仕事を楽にするか」、その後で「それは補助対象か」です。
補助金から入ると、カタログに載っている物の中から選ぶ発想になります。すると、自社の困りごとに合わない物でも「補助が出るから」で決めてしまいがちです。補助対象になる期間には上限があり、それを過ぎた月額は自社負担で続きます。導入後には実績や効果の報告も続きます。「補助金が出るから」で背伸びした月額を組むと、報告のたびに苦しくなります。
どの仕事から手を付けるかの物差しは建設会社のAI導入は何から始めればいい?に、あふれる制度情報を「うちならどうか」まで絞る方法は補助金・経審・制度改正の情報が多すぎる建設会社へにまとめています。

いつまでに、何を準備すればいいですか?
締切は年に一度ではなく、月1回ほどのペースで回次が設定されています。2026年も秋の回が残っています(最新の回次と日程は公式サイトで確認してください)。
準備で時間がかかるのは、実は書類より手前です。GビズIDプライムとは、国の行政サービスに法人としてログインするための共通アカウントです。SECURITY ACTIONとは、中小企業が情報セキュリティ対策に取り組むと自己宣言する制度です。どちらも申請の入口で求められるので、条件と手順は公式サイトで確かめてください。GビズIDプライムとSECURITY ACTION、そして支援事業者・ツール選び。この三つを先に動かすのが実務的です。

いただくことの多い質問
Q. 申請の代行はしてもらえますか。
この制度の申請は、導入する会社がIT導入支援事業者と一緒に進める仕組みになっています。うちは申請の代行は行っていません。うちがお手伝いしているのは、その手前の「どの仕事から楽にするか」「既製と自社製のどちらが合うか」の整理までです。
Q. ChatGPTの利用料には使えますか。
汎用AIの利用料そのものは、この制度の形とは合いません。対象になるのは、事務局に登録されたツールの導入費・利用料です。AI機能付きの登録ツールは2026年から絞り込んで探せるようになったので、支援事業者に「AI機能のあるものを」と伝えると早いです。
Q. 建設業だと審査で不利になりませんか。
公募要領を見るかぎり、業種で制限がかかる制度ではありません。そのうえで、うちの実感では、毎日の事務仕事が多い建設業は、ツールを入れた効果を数字で出しやすいはずです。日報・勤怠・経費のような「毎日必ず発生して、枚数の多い仕事」から組み立てると、支援事業者に渡すときの説明もしやすくなるのではないでしょうか。
補助金は「順番が合っていれば」効く道具です
制度の名前にAIが入り、国の後押しははっきりしました。使える場面——既製ツールの導入——なら、使わない理由はないと思います。
ただ、順番だけは動かさないほうが得だと思います。先に自社の仕事を選び、次にツールを選び、最後に補助金を確かめる。この順番なら、補助金が出なくても、入れた物は会社に残ります。
このテーマの記事はまとめ:建設会社のAI導入、何から始めて何でつまずくかに読む順番で並べています。
まず全体像を知りたい方は建設会社のAI導入 30分説明会へ。自社の場合はどの仕事からか、個別に相談したい方は無料相談をご利用ください。AI顧問が何をする仕事かはこちらにまとめています。
AUTHOR
﨑元 理安(ARCFEELGROUP株式会社 代表取締役)
土木・建築・設備の建設グループ(110名・3業種)の社長として、自社でのAIツール8本の内製を主導。 評論ではなく、当事者としての実装記録を書いています。
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