2026年7月19日
建設会社のAI活用は「1回使う」から「小さい担当を持たせる」へ
「便利だね」で終わるのは、悪くない
社長がChatGPTに挨拶文を書かせる。
少し言い回しを直してもらう。
自分で一から書くより早い。
「これは便利だね」となる。
これは、かなり大きな一歩です。
文章を書く。
長い資料を短くする。
考えを整理する。
私たちも、まずはそこから入りました。
単発で使うだけでも、助かる場面はあります。
以前、建設会社の経営にChatGPTが効く5つの場面にも、その使い方を書きました。
ただ、その横で別の社員が、毎週同じ集計を手でやっている。
足りない数字があれば現場に電話する。
返事が来たら表に写す。
そろったところで上司へ送る。
挨拶文は早くなった。
でも、会社の中を流れている仕事は、そのまま残っていました。
私たちが次に気になったのは、そこでした。
建設会社の仕事は、答えを一つ出して終わらない
最初の頃は、AIがどれだけ賢く答えるかを見ていました。
こちらの指示を理解できるか。
読みやすい文章を出せるか。
きれいに整理できるか。
ただ、実際の仕事を見直すと、一つの答えだけで終わる場面は多くありませんでした。
現場で何かが起きる。
事務所に情報が届く。
誰かが内容を確認する。
経理の処理につなぐ。
原価や工数に反映する。
管理側が見て、必要なら判断する。
この間を埋めていたのは、人の確認でした。
電話でした。
転記でした。
「あれ、もう来ていたっけ」という記憶でした。
事務所で「この現場の分、まだだよね」と声が飛ぶ。
担当者が席を外していて、戻ってから確認する。
そのまま別の仕事が入り、少し止まる。
建設会社では、こういう小さい隙間がよくあります。
AIに立派な報告書を一発で作らせるより、この隙間を埋めたほうが会社には効くのではないか。
私たちは、そう考えるようになりました。
新しく入った社員に、いきなり全部は任せない
感覚としては、新しく入った社員に仕事を渡す時に近いです。
いきなり「現場から経理まで全部よろしく」とは言いません。
まず、届いた書類をそろえる担当を持ってもらう。
抜けがあれば知らせてもらう。
そろったら、次の人へ渡してもらう。
一つひとつは小さい仕事です。
でも、担当がはっきりすると、流れは前に進みます。
AIも同じでした。
一つのAIに、何でも考えて、判断して、最後までやらせようとすると、急に話が大きくなります。
うまくいかなかった時も、どこがおかしいのか分かりにくい。
そこで私たちは、「小さい担当をいくつも置く」と考えるようになりました。
情報を拾う担当。
必要なものだけ並べる担当。
気になるものを知らせる担当。
今の状態を確かめる担当。
次の処理につなぐ担当。
人が見るべき時に、人へ返す担当。
どれも大げさではありません。
けれど、会社の中では毎日、誰かがやっている仕事です。
小さい担当がつながった時、AIが実務に入った
たとえば、現場から情報が上がってくる場面です。
まず、届いた情報を拾う。
必要な項目だけをそろえる。
抜けや気になる点があれば知らせる。
内容がそろったものは、次の処理へ渡す。
判断が必要なものだけ、人に戻す。
ここまでがつながると、人は最初から全部を追わなくてよくなります。
何でも自動で決めるわけではありません。
AIには、確認や整理や受け渡しを持ってもらう。
人は、見るべきものが来た時に見る。
この分け方が、私たちには合っていました。
一つのAIが驚くほど賢い答えを出す。
それも面白いです。
でも、実務で助かったのは、目立たない動きがつながった時でした。
拾う。
そろえる。
知らせる。
次へ渡す。
必要な時だけ、人へ返す。
「AIを使った」というより、前より仕事が詰まりにくくなった。
感覚としては、そちらに近かったです。
8本作って分かったのは、機能より前後だった
この1年で、私たちはAIツールを8本、内製して運用してきました。
そこで何度かあったのが、作った機能は便利なのに、仕事全体はあまり変わらない、ということでした。
便利な機能の前後に、人の手作業が残っていたからです。
AIが文章を作る。
誰かが別の場所へ写す。
別の人が抜けを確認する。
終わったかどうかは、また誰かが覚えておく。
これでは、AIが働いたのは途中の一場面だけです。
そこで、機能のすごさより、前後がつながっているかを見るようになりました。
どこから情報が来るのか。
何をそろえるのか。
どんな時に知らせるのか。
どこまで進んだら次へ渡すのか。
どの時点で人に戻すのか。
ここが決まると、AIは「答える道具」から「担当を持つ存在」に変わっていきました。
土木・建築・設備の3業種では、現場から管理側までの間に、確認や受け渡しがいくつもあります。
その「何となく人が埋めていた部分」を切り出す。
私たちにとっては、そこがAI活用の次の段階でした。
まだ、何でも任せられるわけではない
ここは、正直に書いておきたいです。
私たちも、まだ入口にいます。
AIの動きには雑さがあります。
こちらの想定と違う動きをすることもあります。
だから、何でも自動にすればよいとは考えていません。
判断が重いところ。
例外が多いところ。
間違えた時の影響が大きいところ。
そこは、人が見る前提にしています。
逆に、毎回ほぼ同じ形で行う確認や整理は、小さい担当として渡しやすい。
全部を任せるか、まったく使わないか。
その二つではありません。
この仕事の、この部分だけ持ってもらう。
少し動かして、合わなければ直す。
そのくらいの距離感が、現場には入りやすかったです。
作ったあとに手を入れる話は、建設会社のAI運用・保守の話に書きました。
今回は、その前にある「何を担当として持たせるか」の話です。
「AIに何を聞くか」から、「何を持たせるか」へ
ChatGPTに何を聞けば便利か。
最初は、そこからで十分です。
私たちもそうでした。
ただ、慣れてきたら、会社の中を少し見回してみる。
毎週、同じ確認をしている仕事はないか。
届いたものを、同じ順番で整理していないか。
抜けがあった時だけ、誰かに知らせる仕事はないか。
次の人へ渡すためだけに、誰かが動いていないか。
そこには、小さい担当を置けるかもしれません。
社長の挨拶文が早くできることも、もちろん助かります。
でも、その横で続いていた手集計や確認が、少しずつ流れとして回り始める。
私たちの会社でAIが効いてきたのは、そちらのほうでした。
よくあるご質問
Q. 文章作成や要約に使うだけでは、意味がないのでしょうか。
A. 意味はあります。
私たちも、そこから始めました。
まず1回使って、便利さを知ることは大きな一歩です。
その次に、繰り返している確認や整理へ広げられないかを見ると、会社の仕事につながりやすくなります。
Q. どんな仕事から、小さい担当を持たせるとよいですか。
A. 毎回ほぼ同じ順番で行っている仕事が見つけやすいです。
届いた情報をそろえる。
抜けを確認する。
気になるものだけ知らせる。
そろったものを次へ渡す。
こうした仕事は、どこまでAIに持たせ、どこで人に返すかを決めやすくなります。
Q. 最終的には、全部をAIに任せるのでしょうか。
A. 私たちは、そうは考えていません。
迷うものや、判断が必要なものは人へ返します。
人が決める部分を残したまま、手前の確認や整理を持ってもらう。
今のところは、その形が実務に入りやすいです。
AIに持たせられそうな「小さい担当」を整理したい方は、無料相談でお話ししています。
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ARCFEELGROUP株式会社
ARCFEELGROUP株式会社。土木・建築・設備の建設グループ(110名・3業種)で、 建設業のIT/DXとAI活用ツールの内製を担っています。評論ではなく、当事者としての実装記録を書いています。
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