2026年7月14日
建設会社の経営にChatGPTが効く5つの場面——私たちが自社で使ってきた実例
私たちは、建設会社 ARCFEEL GROUP(社員110名・3業種)の現場で、IT/DX化を20年以上進めてきました。この1年ではAI活用ツールを内製し、主要8本を運用しています。
今回は、その経験をもとに、経営の日常でChatGPTが本当に役立つ場面を5つ、正直に書いてみます。
建設会社の経営層こそ、ChatGPTを「日常の相棒」として使う価値はかなり大きいです。難しいプロンプトが必要なわけではなく、私たちも特別なことはしていないんですが、それでも毎日の仕事で確かに助けられています。
1. 朝イチの「考えの壁打ち」
一番出番が多いのが、朝イチの壁打ちです。
「今期、どこに集中すべきか」のような、まだうまく言葉になっていない悩みを、そのまま打ち込みます。すると、頭の中に散らばっていた論点を整理して返してくれます。
人に相談する前の一次整理として、かなり便利なんですよね。一人で考えていると同じところをぐるぐる回りがちなんですが、相手がいるだけで、少しずつ頭がほどけていきます。
そのまま使える聞き方の例を一つ挙げます。
「建設会社の社長です。◯◯という悩みがあります。まだ考えがまとまっていないので、論点を3つに整理して、それぞれ私に質問してください。」
「答えをくれ」と頼むより、「質問してくれ」と頼んだ方が、意外と考えが進みます。こちらがまだ答えを持っていない時ほど、この聞き方が合います。
もう一つ、この壁打ちは移動時間と相性が良いです。現場への行き帰りの車中で音声入力を使えば、机に向かう時間を取らなくても、頭の整理を進められます。
経営の考えごとは、まとまった時間を確保した時より、隙間時間にじわじわ進むことも多いんですよね。
2. 書類・文章の下書き
挨拶文、お詫び文、協力会社さんへのご案内、求人の文章など、建設会社の経営は、地味に文章を書く場面が多くあります。
ゼロから書くと30分かかる文章も、たたき台をChatGPTに作らせて、人が手直しすれば5分です。最初の一文が出ない時間を減らせるだけでも、かなり助かります。
**「ゼロイチを任せて、最後は人が魂を入れる」**という役割分担が、私たちには一番しっくりきています。
「協力会社向けに、安全大会の案内文を作ってください。日時は◯月◯日、場所は◯◯。堅すぎず、失礼のない文面で、300字程度。」
相手、目的、長さといった条件を先に渡しておくと、あとから直す部分がぐっと減ります。全部をきれいに指示しようとしなくても、この3つがあるだけで、かなり使いやすい下書きになります。
3. 見積りや契約書の「素人質問」
ここは使い方に注意が要るんですが、かなり有効です。
「この契約条項には、どんなリスクがある?」というような、専門家に聞くほどでもない素朴な疑問を、そのままぶつけてみます。もちろん、最終判断は士業の専門家にお願いします。
ただ、相談する前に自分の理解を上げておくだけで、相談そのものの質がかなり変わるんですよね。何がわからないのかを整理したうえで話せるので、聞きたいことも具体的になります。
一つだけ注意しているのが、取引先の実名や金額など、機密にあたる情報はそのまま打ち込まないことです。「A社」「甲・乙」のように置き換えてから聞く。この一手間だけは守ってください。
4. 現場のヒヤリ・トラブルの振り返り
現場で起きた出来事を打ち込んで、「これは何が原因だったと思う?」と聞くこともあります。すると、自分たちだけで振り返っていた時には見えていなかった視点が返ってくることがあります。
そこから気付きがあり、次の行動が決まり、少しずつ変化が生まれます。一人で振り返るよりも深く掘り下げられるので、リフレクションの相棒としても優秀です。
「現場でこういうヒヤリハットがありました:(出来事)。直接原因と背景要因を分けて、再発防止策を現場に負担の少ない順に3つ挙げてください。」
5. 学びの「翻訳機」
ドラッカーさんや一倉定さんの言葉のように、価値はあるけれど、少し難しい言い回しもあります。そういう時に、「うちの現場の言葉で言い直して」とお願いしています。
先人の知恵を、自社の文脈に翻訳してくれる。 これが地味なんですが、意外と効きます。
朝礼で話すひとことに困った時も、「この考え方を、職人さんに3分で話せる言葉にして」と頼めば、たたき台が返ってきます。そのまま読むというより、自分たちの言葉に直すための入口として使う感じです。
社内に広げるときのコツ
社長が使えるようになったら、次は社内に広げていくことになります。ここで最初から構えすぎない方が、意外とうまく進みます。
① まず「見せる」。
朝礼や会議で、社長が実際に使っている画面をそのまま見せます。「これで案内文を5分で作った」という実物があると、どんな研修より伝わりやすいんですよね。
② 一人ずつ、一つずつ。
最初から全員研修をする必要はありません。文章を書く仕事が多い人から順に、「この作業だけAIに頼んでみて」と、使う範囲を絞って渡します。
③ 禁止事項は一枚にまとめる。
「取引先の実名・金額を入れない」など、守ってほしいことはA4一枚にまとめます。ルールが見えていれば、現場も安心して使えます。
このあたりの進め方は、中小建設業のDX、何から始める?で書いた「一人ずつ慣れる」の考え方と同じです。
よくある質問
Q. 無料版で十分ですか?有料版を契約すべきですか?
A. まずは無料版で、「毎日開く習慣」がつくかを試してみてください。週に何度も使うようになったら、有料版(月数千円)に上げる価値は十分にあります。
応答の質と、処理できる量が変わります。逆に、月に数回しか開かないうちは、無料版で十分です。
Q. ChatGPTとClaude、どちらがいいですか?
A. 正直なところ、経営の壁打ちや文章の下書きという用途なら、どちらでも困りません。私たちは両方使っています。
大事なのは、どちらを選ぶかというより、毎日の仕事の中に使う場面を決めることです。迷って止まるくらいなら、どちらかを今日から使い始めた方がいいと思います。
Q. 平気で間違った答えを出すと聞きますが?
A. 本当です。だからこそ、この記事で挙げた5つの場面は、すべて「たたき台・下ごしらえ・壁打ち」に限定しています。
事実の確認や最終判断をAIに任せなければ、間違いがそのまま実害になることはありません。この線引きを守っていれば、間違えることがあっても、道具としての価値は揺らぎません。
結局、土台は「人」です
5つの場面を挙げましたが、共通しているのは、最後の判断はすべて人間がやるということです。
ChatGPTはかなり賢いんですが、真摯さも責任も持ってくれません。そこは、やはり経営の仕事です。
なので、まずは小さく始めるのがいいと思います。今日抱えている悩みを1つだけ、そのまま打ち込んでみると、たぶん「少し頭が軽くなった」が起きます。
そこが入口です。
その先へ——「使う」から「作っていける」へ
ChatGPTで肌感覚をつかんだ次の段階は、日報・経費・見積のような毎日の業務の仕組みにAIを組み込むことです。
私たちはこの順番で、建設日報アプリや経費精算AIなどの8本を自社用に作ってきました。全体像は、建設業×AI 完全ガイドにまとめています。
私たちが伝えたいのは、「使う会社」から「自分たちで作っていける会社」へ、という発展です。まず使ってみて、そこから自社の現場に合わせて育てていく。
その一歩を、私たちは自社の経験をもとに伴走していきます。
ARCFEEL × AIは、建設会社の社長と1対1で向き合い、AI活用を継続的に支える月額顧問サービス「AI導入伴走プログラム」(料金は会社規模で決まる4段階・社員15名以下 月額税抜10万円〜)です。試してみて詰まったときは、無料相談(60分・売り込みはいたしません)でお話を聞かせてください。
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ARCFEELGROUP株式会社
ARCFEELGROUP株式会社。土木・建築・設備の建設グループ(110名・3業種)で、 建設業のIT/DXとAI活用ツールの内製を担っています。評論ではなく、当事者としての実装記録を書いています。
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