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2026年7月19日

建設会社のAI内製は、作るより直す方が難しい

IT系の人が「建設でたとえると」と話すのを聞くと、少し引っかかることがありました。

建設は、図面通りに材料を並べれば終わり、ではないからです。

既存部分があり、人が動いていて、予定通りにいかないものを最後に納める。

そこが仕事だったりします。

なので、こちらから何でも「建設と同じです」と言うのも、少し違うと思っていました。

ただ、この1年、自分たちでAIの仕組みを作ってきて、これは本当に似ているな、となった場面があります。

新しく作るところではありません。

直すところです。

そして、つなぐところでした。

最初の形は、驚くほど早くできた

私たちは、土木・建築・設備の3業種を手がける、約110名の建設会社です。

建設業を20年以上続けながら、この1年で社内向けのAIツールを8本、自分たちで作り、実際の業務で動かしてきました。

この1年でAIを内製してきた話にも書きましたが、最初からうまくいったわけではありません。

それでも、最初の形を作る速さは、以前とはかなり違いました。

画面を作る。

入力する場所を作る。

一覧を出す。

データを保存する。

通知を出す。

Claude Code のようなものを使うと、ここまでは思っていたより早く進みます。

「社内で使うものを、自分たちでここまで作れるのか」と、最初は素直に驚きました。

でも、会社で使うものは、形が見えたところからが長かったです。

昨日動いたものを直すと、別のところが止まる

たとえば、夕方に現場監督がスマホから日報を送る場面です。

送った内容を保存して、管理画面に出して、必要な通知までつなぐ。

言葉にすると、それほど複雑には見えません。

ところが、実際に使い始めると、少しずつズレます。

入力の仕方が想定と違う。

ファイル名が違う。

権限で止まる。

片方では成功しているのに、もう片方には反映されていない。

昨日は動いたのに、今日は別の条件で止まる。

そこで「ここだけ直そう」と触ると、前まで動いていたところに影響が出ることがあります。

現場監督は昨日と同じように送っているのに、裏側では別のつなぎ目が外れている。

作る前には、なかなか見えなかったところでした。

新築より、改修の方が難しい感覚に近い

新築は、もちろん簡単ではありません。

ただ、ゼロから組み立てる分、全体の順番を決めやすいところがあります。

一方で、改修工事には、すでにある建物があります。

既存の配管があり、今の使い方があり、人が住んでいたり、営業していたりします。

壊しすぎず、止めすぎず、今あるものに合わせながら変えないといけません。

AIで作る社内アプリも、途中からこの感じになりました。

新しい画面を一枚作るのは速い。

でも、昨日まで使っていた画面に少し足すとなると、急に話が変わります。

前の動きを残す。

保存されているデータに合わせる。

現場監督のいつもの操作を増やさない。

今ある業務を止めずに変える。

最初の一枚を作るより、この改修の方に時間がかかりました。

難しいのは、機能より「取り合い」だった

特に手がかかったのは、別々のものをつなぐところです。

LINEとデータベース。

データベースと管理画面。

Dropbox のような外部サービス。

メールや通知。

建設日報アプリのように、現場監督の入力から社内で見るところまでをつなぐと、それぞれ単体で動くだけでは足りません。

LINEでは送れている。

データベースにも保存されている。

管理画面にも出ている。

それでも、会社の流れに入れた瞬間、小さなズレが出ます。

建物でも、材料そのものより、材料と材料のつなぎ目で不具合が出ることがあります。

壁と床の取り合い。

サッシまわり。

配管と躯体。

既存部分と新設部分。

AIの仕組みでも、機能そのものより、サービス同士と社内業務の取り合いを見る必要がありました。

性能のいい道具を並べれば終わりではない。

最後にどう納めるかは、やはり別の仕事でした。

ぴったり合わせるより、ズレを受け止める

建設では、何でも寸分違わず合わせればよい、という話でもありません。

チリを取る。

遊びを持たせる。

逃げを作る。

現場では、あとから出るズレをどこで受け止めるかまで考えます。

AIの仕組みも同じでした。

現場監督の入力が少し違うだけで止まる。

想定外のデータが来ると処理できない。

自動化したはずなのに、確認する仕事が増える。

これでは、正しく作れていても使いにくいです。

全部を自動にするより、

ここまでは自動で拾う。

ズレたものは「要確認」に残す。

危ないところは人が見る。

あえて自動にしないところを決める。

その方が、会社の中では馴染むことがありました。

AIを使うと、つい全部やらせたくなります。

でも、全部を閉じるより、どこかに逃げを残した方が、現場監督はいつもの動きで使えます。

このあたりは、図面だけでは決まらない納まりに近いです。

内製の良さは、最初から正解を作れることではなかった

社内業務は、使う前に考えた通りにはなりませんでした。

「そこを自動にしたかったわけではない」

「この入力は、思ったより面倒だった」

「ここは人が見ないと危ない」

使ってから、そういうことが出てきます。

外にお願いする方法が悪いわけではありません。

ただ、細かな修正のたびに説明と待ち時間が生まれると、現場で見つかったズレを直す動きは重くなります。

自分たちで触れる状態にしておくと、その日の違和感を次の修正に持ち込めます。

内製の良さは、最初から完璧に作れることではありませんでした。

「そこじゃなかった」を、自分たちで直せることでした。

8本作った今でも、最初から正解が見えるわけではありません。

むしろ、作れるようになったからこそ、直し続けられるかの方が気になるようになりました。

AI導入も、最後は納まりを見る仕事だった

AIという言葉が入ると、急に新しい話に見えます。

でも、会社に入れるときに見ているのは、かなり地味なことです。

現場監督は、どこから入力するのか。

どこに保存するのか。

どこで止まったと分かるのか。

どこまで自動で、どこから人が見るのか。

今の仕事と、どうつなぐのか。

夕方、現場監督がいつものように日報を送り、裏側のAIを意識しなくても仕事が流れる。

そこまで馴染んで、やっと「納まった」と言えるのだと思います。

建設会社は、毎日、予定通りにいかないものを現場で合わせています。

取り合いを見て、逃げを作り、壊さずに直す。

AIも、派手な機能より、その感覚の方が役に立つ場面がありました。

作って終わりではなく、使って、ズレて、また直す。

この1年で、AI導入も結局はものづくりなのだと、少しずつ分かってきました。

よくあるご質問

Q. Claude Codeを使えば、社内アプリはすぐ業務で使えますか?

A. 最初の画面や入力、保存までの形は、かなり早く作れるようになりました。

ただ、実際の業務に入れると、権限や入力の違い、既存の流れとのズレが出ます。

作れる速さと、会社で使い続けられることは、分けて考えた方がよさそうです。

Q. AIでできるところは、全部自動化した方がよいですか?

A. 私たちの経験では、全部を自動にすると、例外が出たときにかえって確認が増えることがありました。

自動で進めるところと、人が見るところを分けて、ズレたものだけ確認に回す方が馴染む場合があります。

Q. 社内向けの仕組みは、すべて内製した方がよいですか?

A. そうは考えていません。

専門家にお願いした方がよいものもあります。

一方で、使い始めてから細かな修正が続く業務は、自分たちでも触れられる状態にしておくと、「そこじゃなかった」を直しやすくなります。


建設会社でのAI活用や内製について、今の業務に合う進め方を整理したい場合は、無料相談でお話を伺っています。

AUTHOR

ARCFEELGROUP株式会社

ARCFEELGROUP株式会社。土木・建築・設備の建設グループ(110名・3業種)で、 建設業のIT/DXとAI活用ツールの内製を担っています。評論ではなく、当事者としての実装記録を書いています。

ARCFEEL × AI について

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