解約ボタンを、申し込みと同じ場所に置きました——道具を選ぶときに見ておきたい「出口」の条件
自社サービスの支払い画面を作っていて、一番迷ったのは解約ボタンの置き場所でした。
置くかどうか、ではありません。どこに置くかで迷いました。
土木・建築・設備の3業種、約110名。この半年ほどAIツールを自分たちで作ってきて、今回は初めて「お金をいただく側の画面」を作りました。そこで考えたことを書きます。
解約は、電話にする手もありました
世の中のサービスを見ていると、申し込みは画面で3分、解約は電話のみ、という形がけっこうあります。
理由は分かります。電話をすれば引き止められるからです。「今なら割引が」「あと1か月だけ」と言う機会が作れる。数字としては、そちらの方が残るのだと思います。
でも、自分が契約する側だったらどうか、と考えました。
やめにくいと分かっているものは、そもそも始めにくい。
特に、初めて使う種類の道具はそうです。効くかどうか分からないものを、出口が見えないまま契約するのは怖い。少なくとも私は怖いです。
結局、画面から解約できるようにしました
申し込みと同じ場所に、解約の手続きも置きました。電話は不要です。
あわせて、条件も画面に書きました。毎月20日までにお申し出いただければ、その月の末日まで。翌月分の料金はかかりませんし、違約金もありません。契約期間の定めも設けていません。
書いてしまうと当たり前のようですが、決めるまでには迷いました。引き止める機会を、自分から手放すことになるからです。
それでもこうしたのは、私たちの商品が「1年かけて会社を変える」という約束だからです。やめにくくして続いた1年と、いつでもやめられる中で続いた1年では、意味がまったく違います。後者でないと、そもそも約束を果たしたことにならない。

建設業でも、同じ場面はあります
これは売る側の話に見えますが、選ぶ側の話でもあります。
建設会社でも、業務ソフトやクラウドの道具を検討する場面は増えていると思います。そのとき、機能と料金は必ず比べますが、出口の条件まで見る方は多くありません。
見ておいた方がよいのは、次の三つです。
**一つ目、やめ方。**画面でできるのか、電話が要るのか、書面が要るのか。ここが重いサービスほど、後で面倒になります。
二つ目、最低契約期間と違約金。「1年縛り」があるかどうか。試したいだけなのに1年払う羽目になる、というのは避けたいところです。
**三つ目、やめた後にデータをどうするか。**ここが一番見落とされます。**入力してきた日報や原価のデータを、やめるときに持ち出せるのか。**持ち出せない場合、そのサービスをやめる判断そのものが難しくなります。データが人質のような形になるからです。
「エクセルで落とせますか」と一言聞くだけで済みます。答えられない相手なら、そこは考えどころだと思います。
続くかどうかは、契約の縛りでは決まらない
うちが8本のツールを社内で回してきて感じるのは、道具が続くかどうかは、やめられないから続くものではないということです。
続いているものは、単純に楽になっているから続いています。逆に、効かなかったものは、縛ってあっても使われません。画面を開かなくなるだけです。使われなくなるのは静かに起きる、という話は別の記事に書きました。
だとすると、売る側が縛りで守れるのは料金だけで、実際に使われているかどうかは守れません。それなら、出口を開けておいて、中身で続けてもらう方が筋が通っている——そう考えました。
試すときの、現実的な進め方
新しい道具を試すとき、私たちが自社でやっている進め方です。
- **最初は一部署、数人で始める。**全社に入れてから合わなかったときの手戻りが大きすぎます
- やめる条件を先に決めておく。「3か月使って、月末の作業が短くならなければやめる」など、具体的に
- **データの出し方を、最初に確認しておく。**始めるときに聞く方が、やめるときに聞くより角が立ちません
三つ目は特におすすめです。契約前なら、相手も普通に答えてくれます。
よくある質問
Q. 解約しやすいと、すぐやめられてしまいませんか。
A. その可能性はあります。ただ、やめられるのは効いていない場合です。効いていないのに縛って続けてもらっても、次の紹介にはつながりません。むしろ「合わなかった」と言ってもらえる方が、こちらも直せます。
Q. 契約前に、どこまで聞いていいものですか。
A. 出口の条件は、契約前に聞くのが普通です。「やめるときはどうすればいいですか」と聞いて嫌な顔をされるようなら、その時点で分かることがあります。
Q. 既に使っているサービスの条件が分かりません。
A. 契約書か、管理画面のどこかに書いてあります。見当たらなければ、問い合わせて確認しておくと安心です。更新月の直前に慌てて調べる、というのが一番よくない形です。
出口が見えている道具は、試しやすい
道具を入れるかどうかで迷っている会社は多いと思います。迷う理由は、たいてい「合わなかったらどうしよう」です。
その不安を減らすのは、機能の説明ではなく、やめるときの条件がはっきりしていることでした。自分たちが売る側になってみて、そこがよく分かりました。
これから何かを検討されるときは、パンフレットの最後の方にある小さい字を、一度見てみてください。そこに、その会社の考え方が出ています。
このテーマの記事はまとめ:建設会社のAI導入、何から始めて何でつまずくかに読む順番で並べています。
このテーマの記事はまとめ:建設会社のAIとセキュリティに読む順番で並べています。
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AUTHOR
﨑元 理安(ARCFEELGROUP株式会社 代表取締役)
土木・建築・設備の建設グループ(110名・3業種)の社長として、自社でのAIツール8本の内製を主導。 評論ではなく、当事者としての実装記録を書いています。
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