【AI活用事例】建設業の日報・勤怠——紙とLINEが、累計6,867件の打刻の仕組みになるまで
(導入事例 第1回)
結論の数字から先に言うと、運用開始から2026年9月4日までの約5ヶ月で、勤怠の打刻は累計6,867件が自動で溜まる形になりました。全て本番データベースの実測です(この記事の数字は、すべて2026年9月4日時点の実測です)。
今回から、AIの導入事例を週1本のペースで書いていきます。個別の会社さまの数字はお約束どおり出せないので、規模と業種の属性だけ明記する形です。第1回は、いちばん数字を開示できる事例——私たち自身のグループから始めます。
事例の属性
- 業種: 土木・建築・設備の3業種(建設グループ)
- 規模: グループ社員 約110名の建設グループ
- 導入したもの: 日報・勤怠のAIツール(自社内製)
- 導入時期: 2026年1月に着手・同4月11日から実運用
導入前: 紙とLINEと電話が混ざっていました

導入前の勤怠は、よくある形でした。現場ごとに紙の出面、事務所へのLINE報告、電話での口頭連絡が混在し、月末に事務がそれを集めて表にする。集める側の負担が大きく、現場側も「どれで出せばいいのか」が場所によって違う状態でした。
月末が近づくと、事務所の机に現場ごとの紙が積まれます。読めない字を電話で確認し、抜けている日を本人に聞き、それを表計算に打ち直す。この「集めて、確かめて、打ち直す」が、毎月必ず発生する固定の重さでした。
もうひとつ困っていたのは、月の途中で状況が見えないことです。締めてみて初めて「この現場、人が多すぎたのでは」と分かる。数字が月末にしか出ないので、手の打ちようがありませんでした。
変えるときに決めたのは、現場の手を増やさないことです。新しいアプリを覚えてもらうのではなく、ふだん使っているLINEに「出勤」と送るだけで勤怠が付く形にしました。
検討の初期には、市販の勤怠アプリも見ています。ただ、現場の職人さんに新しいアプリを入れてもらい、ログインを覚えてもらうところが最初の壁になると判断しました。道具の性能より、今の流れに入るかどうか。ここは今でも、導入相談のときに一番お伝えしているところです。
実測: 累計6,867件の打刻が仕組みに乗りました
2026年4月11日の実運用開始から9月4日までの実測です(自社データベースの直接集計)。
| 指標 | 実測値 |
|---|---|
| 勤怠打刻の累計 | 6,867件 |
| 30日間(8/6〜9/4)の打刻 | 1,857件(1日およそ62件) |
| AIによる勤怠テキストの読み取り | 累計1,259回 |
「AIによる読み取り」というのは、LINEで届く「今日は8時から17時、○○現場」のような自由な文章を、AIが日付・時間・現場に整えて記録する処理のことです。現場の人に入力フォームを触らせず、文章のままでよいことにしたので、この処理が要ります。
正直な話: 全員が一日で使えたわけではありません

数字だけ見るときれいですが、途中には泥くさい話もあります。
出勤の打刻はすぐ定着しました。「出勤」と送るだけだからです。一方で作業日報のほうは、書く量が人によってばらつき、最初の月は空欄も目立ちました。ここは「短くていい」と繰り返し伝えて、承認する側が催促の手間を持つ形でならしていきました。
定着で効いたのは、説得ではなく設計だったと思います。入力を求めるほど現場は離れ、削るほど続く。「便利ですよ」と説明する回数より、送る手数をひとつ減らすことのほうが、定着には効きました。
もうひとつ、夜勤や半日勤務のような変則の勤怠は、AIの読み取りが最初はうまくいかず、直しながらの運用でした。導入して終わりではなく、直せる体制のほうが大事——これは他の記事でも何度も書いてきたとおりです。
実際の画面はこんな形です。

費用対効果はどう見ているか
導入の費用対効果を聞かれることが多いので、考え方だけ書いておきます。うちでは「月末の集計に消えていた時間」と「月の途中で数字が見えるようになったこと」の2つで見ています。前者は事務の残業の話で、後者は金額にしにくいのですが、現場の配置を月の途中で直せるようになったことの方が、経営には効いている実感があります。
効果を大きく見せる数字の出し方はいくらでもありますが、このページの数字は全て本番データベースの実測です。増えたら増えたぶんだけ、実測データのページで毎月更新していきます。
この事例から言えること
毎日必ず発生して、枚数の多い仕事から始める——私たちが顧問のご相談でも最初におすすめしている順番は、この自社経験から来ています。勤怠・日報は、どの建設会社にも毎日あり、1日60件規模の記録が自動で溜まっていく。効果が数字で見えるので、社内の次の一歩にもつながりやすい仕事です。
よくいただくご質問
Q. 職人さんからの反発はありませんでしたか?
「新しいアプリを覚えてください」だったら、あったと思います。実際にはLINEに「出勤」と送るだけなので、覚えることがほぼなく、反発というより「これでいいの?」という反応でした。抵抗が出るのはたいてい道具そのものではなく、手数が増えたときです。
Q. どのくらいで定着しましたか?
打刻は最初の週から回りました。作業日報の中身が揃ってくるまでは、承認側が催促しながらならした期間があります。「導入した日から全部きれいに回る」とは、うちの実感としても言えません。ただ、打刻のような毎日の記録が先に回り始めると、数字が見える良さが社内に伝わって、残りが付いてきやすくなります。
Q. 同じ形は他社でも作れますか?
作れます。ただ、道具をまねるより先に「うちの現場は今なにで報告しているか」を洗う方が近道です。紙・LINE・電話・口頭——今の流れを知らずに道具から入ると、流れに乗らない道具ができます。私たちの説明会でも、まずこの「今の流れ」からお聞きしています。
数字の続きは、実測データのページで毎月更新しています。同じ規模感で「うちならどうなるか」を見てみたい方は、30分説明会(Zoom・顔出し不要・無料・建設業を営む会社さま限定)で実際の画面をご覧いただけます。
このテーマの記事はまとめ:建設業の日報・勤怠・現場の情報に読む順番で並べています。
AUTHOR
﨑元 理安(ARCFEELGROUP株式会社 代表取締役)
土木・建築・設備の建設グループ(110名・3業種)の社長として、自社でのAIツール8本の内製を主導。 評論ではなく、当事者としての実装記録を書いています。
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